ランボルギーニ・アヴェンタドールSVJ(4WD/7AT)
スポーツカーの荒神 2019.01.07 試乗記 生産台数900台となる「アヴェンタドールSVJ」の記念すべき1号車が、目の前にある。歴代最高となる770psのパワーを持ち、ランボルギーニ自慢の可変空力デバイス「ALA」を採用したフラッグシップモデルの走りを、ワインディングロードで確かめた。アヴェンタドールは別
水盃をかわす、と言ってはちょっと大げさだが、かつてランボルギーニに乗る時は、いつもそんな気持ちを抱かされたものだ。何が起こるか分からない、何かが起こるかもしれない禍々(まがまが)しさと向き合うにはそのぐらいの覚悟が必要だったのである。
それに比べて最新のランボルギーニ、たとえば「ウラカン ペルフォルマンテ」が高性能とともに、その名とは裏腹な現代的洗練度と現実の路上での扱いやすさを持ち合わせていることには驚くばかりだが、ランボルギーニの旗艦アヴェンタドールは依然として別物だ。しかもこのクルマは「SV」に加え、ランボルギーニにとっては特別な「J」まで上乗せされて「SVJ」の3文字をいただく究極のアヴェンタドールだ。
ダウンフォース向上とドラッグ低減を両立させたアクティブエアロダイナミクスの進化版「ALA2.0」を採用したことがSVJの最大の特徴だが、そのおかげで実に扱いにくい、厄介なクルマとなった。まるでGTレーシングカーのような、前後左右のカーボン製空力付加物のせいでさらにサイズは拡大し、全長はほぼ5m、全幅は2.1m(ミラー込みだとほぼ2.3m!)に達している。「アヴェンタドールS」でも全幅は2mを超えていたからそれほど大きな違いはないだろうと考えていたが(大きな問題だが、比較で言えばそうではない)、厄介な問題は、そもそも斜め後方が見えないうえに、SVJではルームミラーがまったく役に立たないということだ。
巨大なカーボン製リアウイングの真ん中の支柱がボディー後部中央に立てられ、その基部にアヴェンタドールSVJの自慢である可変エアロダイナミクス「ALA2.0」のエアインテークがドーンと設けられているせいで、ルームミラーを通して見る後方視界の“一等地”が完全にふさがれているのだ。取り外し式のカーボン製エンジンフードの隙間からわずかに見える左右両側後方と、サイドミラーしか頼るものがないのである。ただでさえロックスターのように目立つのに、後方から忍び寄る危険を監視する手段が限られているのだ。
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