自動運転の実現と電動車の普及を見据えた法改正

独アウディは、2017年秋に発表した新型「A8」にレベル3の自動運転機能を搭載すると発表した。具体的には、高速道路における渋滞時(60km/h以下)の運転操作を自動化したものだ。現在実用化されている「レベル2」と何が違うのか。レベル2の自動運転では、人間のドライバーがシステムの動作状態を監視する義務を負い、万一事故が発生した場合には人間が責任を負う。これに対して、レベル3では人間の監視義務がなく、事故が発生した場合の責任はメーカーが負う点が大きく異なる。

ただしレベル3では、システムが要請した場合には人間が運転を代わる必要があり、クルマに運転を任せている間も、人間はコーヒーを飲んだり、新聞を読んだりすることは許されていない。アウディA8でもレベル3の自動運転中に可能な作業は、車両に搭載されたディスプレイでメールを読むなど、クルマの機能に統合された端末でできるものに限定されていた。人の手が必要な場合には映像を切り替えて、自動運転から手動運転へとスムーズに移行できるようにするためだ。

これに対して、走行中の携帯電話の使用を認めた今回の改正案は、車両に一体化された端末でできる作業に限定していたこれまでの業界の“相場感”を上回る内容だ。これが筆者の驚いた理由である。改正された道路交通法は2019年中に施行されると見られている。そうなれば、限定された走行条件ではあるが、運転をクルマに任せる真の意味での自動運転が実現することになる。

もうひとつ、気になる法改正の動きが、自動車税を現在の排気量別から走行距離に応じた課税へと抜本的に変更することが検討されていることだ。今後普及が見込まれる電気自動車(EV)にはそもそも「排気量」という概念がないこと、カーシェアリングの普及などで“所有”から“利用”への移行が見込まれることが背景にある。

ただ、理念は理解できるものの、単純な走行距離課税は多くの弊害を生みそうだ。現在は都市部よりも地方のほうが自動車の走行距離が長い。このため距離課税は地方への増税という側面を持つと考えられ、ますます地方経済を疲弊させかねない。タクシーや物流といった、現在でも人手不足による人件費高騰に悩む業界にも、さらに増税という重荷が課せられる。こうした観点から、筆者個人は走行距離ではなく、1km走行あたりのCO2排出量に応じた課税のほうが好ましいと考えている。ただし、車両段階でのCO2排出量で税金を決めるとEVはゼロということになってしまう。税率は単純に車両からの排出量だけでなく、燃料採掘や発電の段階でのCO2排出量も考慮することが必要になるだろう。

アウディが現行型「A8」で先鞭(せんべん)をつけた、「レベル3」の自動運転システムだが、自動運転中にドライバーができることについては、さまざまな制約がある。
アウディが現行型「A8」で先鞭(せんべん)をつけた、「レベル3」の自動運転システムだが、自動運転中にドライバーができることについては、さまざまな制約がある。拡大
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