競争の激化が予想される中国市場

最後に取り上げたいのは、2018年に28年ぶりのマイナス成長となる見込みの中国自動車市場の行方である。この原因について、2018年12月27日付の日本経済新聞は、ガソリン車のナンバープレート規制の拡大や不動産価格の下落、2017年末の小型車減税の駆け込み需要の反動などを挙げている。しかし、ここで触れられていない大きな要因として、米中貿易戦争の影響で中国から米国への輸出が減少し、中国経済が急速に減速していることを付け加えたい。中国の公式な2018年の経済成長率は6.6%とされているが、実際には1.67%にすぎないという報道もある。原因が米中貿易摩擦にあるとすれば、中国自動車市場の成長鈍化も長引くと考えざるを得ない。2019年の中国自動車市場も、これまでのような高成長は見込めないだろう。

こうした中で注目されるのは、ここ数年で急成長した「新エネルギー車(NEV)」の動向である。新エネルギー車とはEV、プラグインハイブリッド車(PHEV)、燃料電池車(FCV)といった環境性能に優れた車両のことで、中国では補助金やナンバープレートの優先的な交付などによって普及が後押しされてきた。この結果、2017年のNEVの販売台数は2016年比で53.3%増の77万7000台に達し、2018年も11月末までで100万台以上に達するなど、市場全体が停滞する中で依然として高い伸びを示している。

しかし、普及のための補助金は2015~2016年に1兆7000億円に達したといわれており、補助金頼みの普及は限界に達している。そこで中国は2020年末で補助金政策を終了させる方針で、2021年以降、メーカー各社は補助金なしでNEVを普及させる必要に迫られる。これに先立ち、2019年からはメーカー各社に全販売台数に対する一定比率のNEVの販売が義務付けられる(2019年は10%、2020年は12%)。

これまで、NEVの購入補助金は中国ローカルメーカーだけに支給されており、このため現在のNEV市場は中国ローカルメーカーのEVやPHEVで占められている。しかし補助金政策が打ち切られれば内外の完成車メーカーが同じ条件の下で競争するようになり、相対的に技術力で劣る中国のローカルメーカーが窮地に立たされる可能性もある。2019年は、市場が伸び悩む中でNEVの義務化が始まる厳しい年になることが予想される。

(文=鶴原吉郎<オートインサイト>/写真=アウディ、本田技研工業、ルノー/編集=堀田剛資)

ホンダが2018年の広州モーターショーで発表した中国専用EV「理念VE-1」。ローカルメーカーへの補助金の終了が、日系メーカーを含む海外勢への追い風となるかもしれない。
ホンダが2018年の広州モーターショーで発表した中国専用EV「理念VE-1」。ローカルメーカーへの補助金の終了が、日系メーカーを含む海外勢への追い風となるかもしれない。拡大
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