日本車が日本で輝きを失う時代

この後、ヴィッツは2005年に2代目へとフルモデルチェンジする。外観は初代に似ていたが、内装の質と乗り心地がさらに向上して、プレミアムコンパクトカーの雰囲気を身につけた。

ところが、2010年に発売された3代目の現行型は、内装から乗り心地まで、質感を幅広い部分にわたって下げてしまう。2008年末に発生したリーマンショックの影響もあり、コスト低減が著しかったからだ。販売店からは「これでは先代型(2代目)のお客さまに、新型ヴィッツへの乗り換えを提案できない。新型を見せたら、逆効果になってしまう」という嘆きの声が聞かれたものだ。

トヨタが、そして日本の自動車メーカーが、この時代から海外へと軸足を移し、国内市場は徐々に軽く見られるようになっていった。今のヴィッツは数回にわたる改良を受けて多少は質を高めたが、2代目の品質レベルには戻っていない。

ヴィッツの歩んだ20年間は、日本車が日本で輝きを失う時代であった。ヴィッツ自身が、この経緯を端的に表現している。今後の20年間は、過去を払拭(ふっしょく)する時代になると思いたい。

ヴィッツ セーフティーエディションIIIの発売は2019年1月7日。年頭に思いを巡らせるにふさわしい特別仕様車だ。

(文=渡辺陽一郎/写真=トヨタ自動車/編集=藤沢 勝)

2代目へのバトンタッチは2005年2月。新開発のプラットフォームを採用するなど、すべての面での質感向上が図られていた。
2代目へのバトンタッチは2005年2月。新開発のプラットフォームを採用するなど、すべての面での質感向上が図られていた。拡大
現行型(写真は前期モデル)へとスイッチしたのは2010年12月のこと。細部のつくり込みなどにコストダウンの影響を多分に感じさせた。
現行型(写真は前期モデル)へとスイッチしたのは2010年12月のこと。細部のつくり込みなどにコストダウンの影響を多分に感じさせた。拡大
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