サルデーニャで救出された超初期型

もう1台、幸運なパンダを紹介しよう。2018年9月、スイスで開催されたイベント、グランドバーゼルでのことである。

このイベントは自動車をアーキテクチャーやデザインの観点で再発見することを意図したエキシビションであった。その会場に、1台のボロボロの初代「パンダ45」がスーパースポーツカーやヒストリックカーとともにディスプレイされていた。

脇には「Save the Panda!」と記されている。そして車両近くのブラウン管テレビには、“救出”時の記録映像が上映されていた。

2007年にイタリアのサルデーニャ島でこのクルマを発見したのは、グランドバーゼルの選考委員会 代表顧問も務めたパオロ・トゥミネッリであった。

ケルン専門大学教授にして数々の展覧会でキュレーターを務める彼は、そのパンダ45がモデルイヤーよりも1年前の1979年製造の超初期ロットであることに着目した。

現地で入手後は、ドイツの仮ナンバーを付けてフェリーでイタリア本土まで運び、そこから長靴半島を運転して北上。かつて岩倉使節団も通ったブレンナー峠を越えて、収蔵先であるミュンヘンのデザインミュージアム、ディ・ノイエ・ザムルンクに運び込んだという。

もっと過去のアニェッリ特注車。カロッェリア、ボアーノによるビーチカー「フィアット500スピアッジーナ」。ボディーの上半分こそ白だが、下部はやはりブルーに塗られている。
もっと過去のアニェッリ特注車。カロッェリア、ボアーノによるビーチカー「フィアット500スピアッジーナ」。ボディーの上半分こそ白だが、下部はやはりブルーに塗られている。拡大
アニェッリの「パンダ4×4」はレストアにあたり、内装に名門服地メーカーであるヴィターレ・バルベリス・カノニコの生地が使われた。助手席側にはタグが縫い付けられている。
アニェッリの「パンダ4×4」はレストアにあたり、内装に名門服地メーカーであるヴィターレ・バルベリス・カノニコの生地が使われた。助手席側にはタグが縫い付けられている。拡大
ヴィターレ・バルベリス・カノニコの生地はドアの内張りにも。
ヴィターレ・バルベリス・カノニコの生地はドアの内張りにも。拡大
シートに刻印されたガレージ・イタリアのエンブレム。
シートに刻印されたガレージ・イタリアのエンブレム。拡大
大矢 アキオ

大矢 アキオ

コラムニスト。国立音楽大学ヴァイオリン専攻卒にして、二玄社『SUPER CG』元編集記者、そしてイタリア在住21年と脈絡なき人生を歩んできたものの、おかげで妙に顔が広い。今日、日本を代表するイタリア文化コメンテーターとして執筆活動に携わると共に、NHKラジオフランス語テキストでも活躍中。10年以上にわたるNHK『ラジオ深夜便』レギュラーリポーター、FM横浜『ザ・モーターウィークリー』季節ゲストなど、ラジオでも奮闘している。『Hotするイタリア』『イタリア発シアワセの秘密 ― 笑って! 愛して! トスカーナの平日』(ともに二玄社)、『カンティーナを巡る冒険旅行』『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(ともに光人社)、電子書籍『イタリア式クルマ生活術』(NRMパブリッシング)、『メトロとトランでパリめぐり】(コスミック出版)など数々の著書・訳書あり。

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