初音ミクと日本GPレーサー

メーカーの出展するブースも見学する。そのひとつ、ダイハツのモットーは、「カスタマイズの楽しみは、特別な人のものじゃない」だ。特別な人の解釈は、それを読む人に委ねられているが、大変明快なコンセプトである。

と格好よく記したものの、ボクがダイハツを目指した本当の理由は、「ムーヴ キャンバス 初音ミク リミテッドパッケージ ビーチクルージンVer.」を、ひと目見たかったからである。軽自動車であるベース車両といい、その初音ミクコラボといい、ボクの場合、実車を見られるのは東京しかないのだ。

コンパニオンたちがキュートであることもあろう、ショータイムになると、ステージには簡単に近づけないほどの人だかりができた。そのさまは、隣のメルセデス・ベンツブースがかすむほどであった。

そうしたダイハツブースの一角に1台のヒストリックレーサーが展示されていた。「P-5」は、1968年の第3回日本グランプリレースにおけるクラス優勝車である。

スタッフが2名立っていたので声を掛けてみる。第1エンジン開発室の渋谷茂伸さんと第2デザイン室の若林道之さんだった。

P-5はFRPボディー+鋼管スペースフレームという構成だ。エンジンは「コンパーノ」の1リッターを1.3リッターまで拡大。オリジナルの100ps足らずから140psまで上昇させている。

本稿でたびたびボクは、ダイハツは“イタリア度”が最も高い日本ブランドであると説いてきた。数々使用されてきたイタリア語の車名やかつてのデ・トマソ/イノチェンティへのエンジン供給とその副産物である「シャレード デトマソ ターボ」、そしてピアッジョとの提携による「ハイゼット」の姉妹車などなど、である。

今回P-5を語るなら、そのコンセプトである「小さなボディー+既存のエンジンをベースに最大のパワー」は、まさに日本版アバルトといえまいか。

ダイハツ・ムーヴ キャンバス 初音ミク リミテッドパッケージ ビーチクルージンVer.
ダイハツ・ムーヴ キャンバス 初音ミク リミテッドパッケージ ビーチクルージンVer.拡大
その内装。できれば初期の空冷フォルクスワーゲン風の車内用花瓶をアクセサリー設定してもらい、ユーザーは(初音ミクの持ち物である)長ネギをさして走ってほしいものだ。
その内装。できれば初期の空冷フォルクスワーゲン風の車内用花瓶をアクセサリー設定してもらい、ユーザーは(初音ミクの持ち物である)長ネギをさして走ってほしいものだ。拡大
「ハイゼット トラック」の物販車には、初音ミクグッズが。中には当日分完売の商品もあった。
「ハイゼット トラック」の物販車には、初音ミクグッズが。中には当日分完売の商品もあった。拡大
いっぽう筆者のイチオシは、これ。ダイハツや「ミゼット」の歴代エンブレムをちりばめたファイバークロス。大阪城をモチーフにした図案も! 1000円という良心的価格もダイハツらしい。
いっぽう筆者のイチオシは、これ。ダイハツや「ミゼット」の歴代エンブレムをちりばめたファイバークロス。大阪城をモチーフにした図案も! 1000円という良心的価格もダイハツらしい。拡大
大矢 アキオ

大矢 アキオ

コラムニスト。国立音楽大学ヴァイオリン専攻卒にして、二玄社『SUPER CG』元編集記者、そしてイタリア在住21年と脈絡なき人生を歩んできたものの、おかげで妙に顔が広い。今日、日本を代表するイタリア文化コメンテーターとして執筆活動に携わると共に、NHKラジオフランス語テキストでも活躍中。10年以上にわたるNHK『ラジオ深夜便』レギュラーリポーター、FM横浜『ザ・モーターウィークリー』季節ゲストなど、ラジオでも奮闘している。『Hotするイタリア』『イタリア発シアワセの秘密 ― 笑って! 愛して! トスカーナの平日』(ともに二玄社)、『カンティーナを巡る冒険旅行』『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(ともに光人社)、電子書籍『イタリア式クルマ生活術』(NRMパブリッシング)など数々の著書・訳書あり。

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