レクサスUX250h“バージョンL”(4WD/CVT)
こういうのがレクサス 2019.01.30 試乗記 デザインコンシャスなコンパクトSUVと片付けられそうな「レクサスUX」だが、その本質は走りのよさにある。かつてレクサスが掲げた、実現困難ながらも高潔な志……。それを思い起こさせてくれる一台に仕上がっていた。乗れば穏やか
例によって威嚇的なアグレッシブな顔つきと、光の具合によっては驚くほど際立って見えるホイールアーチ周辺の抑揚や複雑なラインには、ちょっと気後れするほどの迫力を感じるが、乗ってみると意外にも優し気なことに何だかホッとした。このところのレクサスのニューモデルがスポーツ志向一辺倒であることにちょっと辟易(へきえき)していた私にとっては、レクサスの最新コンパクトSUVであるUXがすっきり穏当で肌触りの優しいモデルであることに安心したのである。いつでもどこでもスポーツ最高、筋肉は裏切らない、みたいなことを四六時中聞かされていたのでは気疲れする。若者たちを引きつけようとする意図は理解できるが、その若者たちがぎゅんぎゅん曲がって、ブンブン飛ばすことを最も重視しているかというと、そうではないはずだ。スポーティーな走行性能をどのように捉えるかにもよるが、レクサスが標榜(ひょうぼう)する「すっきり奥深い走り」に一番近いのは、レクサスの末弟ともいうべきこのUXのような気がする。
あらためて言うと、他のプレミアムブランドがどんどん市場を占めていく中、ようやく登場したレクサスのコンパクトSUVがUXである。レクサスはSUVというより新しいクロスオーバーモデルと主張したいようだが、それでもやはり背の高さを抑えた、おしゃれでクールなSUVと見るのが常識的な線だろう。試乗車はハイブリッドの「250h」のラグジュアリー仕様たる“バージョンL”で、リアアクスルにも低速用のモーターを備えたAWD仕様。車両本体価格は535万円、オプションを加えると600万円を超えるシリーズ中の最高価格モデルである。