晴れてリスト入りしたクルマたち

ASIによって認定されている「製造後20年以上」の340車種には、「えっ、もうあんなクルマもヒストリックカーなの?」と驚くような、若いモデルもあるのが面白い。

フィアットを例にとれば「クーペフィアット」(1993-2000年)だ。ただし、気をつけなければならないのは、細かいバージョンも指定されていることである。同車の場合、認定を受けられるのは「2.0i.e.ターボ16V」のみである。

次に、2019年に初期生産モデルが製造後30年を迎える確率が高い、1989年デビューの“新参ヒストリックカー”を探す。

イタリア車では、あの「アルファ・ロメオSZ」がもちろんリスト入り。初代「フィアット・ティーポ」も高性能バージョンの「1.8」および「2.0」が申請可能だ。

「シトロエンXM」およびその姉妹車である「プジョー605」は、いずれも2リッターターボと3リッター版がその対象となっている。

余談をお許しいただければこの605、東京での編集者時代に勤務していた出版社が所有していて、たびたび運転したものである。エンジンの回り方やATの変速タイミング、サスペンションのストローク、いずれもとがった部分がまったくない穏やかなクルマだった。したがって、他の日本車や欧州車と比較しても、長距離出張において一番ストレスが少なかった。しかしながら、ヨーロッパにおける605は、その大切なカスタマーであった年金生活者にはサイズが大きすぎた。また、すでに始まっていたドイツ系プレミアムブランドの攻勢をもろに受けてしまった。そのため今日まで生き延びた605を路上で見る確率は、よりエンスージアスティックなシトロエンXMよりもさらに少ない。

「プジョー605」。昔ながらのプジョーらしい、穏やかなクルマだった。
「プジョー605」。昔ながらのプジョーらしい、穏やかなクルマだった。拡大
2018年2月、パリの夜闇の中で生き残っていた「シトロエンXM」を発見。1993年以前の前期型だから、車齢は少なくとも四半世紀ということになる。
2018年2月、パリの夜闇の中で生き残っていた「シトロエンXM」を発見。1993年以前の前期型だから、車齢は少なくとも四半世紀ということになる。拡大
大矢 アキオ

大矢 アキオ

コラムニスト/イタリア文化コメンテーター。音大でヴァイオリンを専攻、大学院で芸術学を修める。1996年からシエナ在住。日本を代表するイタリア文化コメンテーターとして語学テキストやデザイン誌等に執筆活動を展開。21年にわたるNHK『ラジオ深夜便』リポーター、FM横浜『ザ・モーターウィークリー』季節ゲストなど、ラジオでも怪気炎をあげている。『Hotするイタリア』『イタリア発シアワセの秘密 ― 笑って! 愛して! トスカーナの平日』(ともに二玄社)、『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(光人社)、『メトロとトランでパリめぐり】(コスミック出版)など著書・訳書多数。YouTube『大矢アキオのイタリアチャンネル』ではイタリアならではの面白ご当地産品を紹介中。

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