臭わないのが新しい

それでも、なじみ深いブランドをいくつも会場内で見つけることができたので、そのたびに立ち寄ってみた。

愛知製鋼は出資しているベンチャー企業と共同で、自動運転支援技術「磁気マーカシステム」を展示した。

車両側には超高感度の磁気センサーを搭載。いっぽう道路には、車線中央に一定間隔で磁石を敷設しておく。これにより、車両が磁気を検知してトレースしながら運行できるというものだ。その磁石、RFID(電波による無線通信機能)付きとはいえ、本体部分は低コストかつ耐久性が高いフェライト磁石だという。自車位置の推定精度は±5mm以下。200km/hでも追従可能というから驚きだ。

自動運転車のトランクルームをわが物顔で占領する巨大な演算ユニットやクルマのデザインをぶち壊すLiDAR(ライダー)といったセンサーも必要なくなる! これは素晴らしい。と絶賛したところで、「ただし」と担当者が冷静に説明を続けた。「これ(磁気マーカシステム)だけでは、車両の前に突然飛び出てきた障害物などを避けることはできません」。他のセンシングデバイスとの併用が必須となるのだ。それでも、インフラさえ整えばかなり容易に一定レベルの自動運転が実現できる。さらに、ゴムタイヤ走行の新交通システムも、電源さえ確保できれば、そのまま“支線”として軌陸車のように公道を走らせることもできるのではないか、などと夢の翼を広げてしまった。

いっぽう、灯火類でおなじみのスタンレー電気は、近紫外LEDと光触媒を組み合わせた車内用消臭システムを展示。消臭デバイスの試みは他社にもみられた。筆者が察するに、自動運転が普及した暁には、パッセンジャーがいかに快適に過ごせるかというところに、大きなビジネスチャンスがあるだろう。それは音響メーカーのBOSEが近年CESで、「個々の乗員がヘッドホンなしにオーディオを楽しめるデバイス」といったものを提案していることからもわかる。そうした中、消臭も大切な要素であり、特に多数の人がクルマを使い回すカーシェアリング時代になると、その重要度はより増すと思われる。

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大矢 アキオ

大矢 アキオ

コラムニスト。国立音楽大学ヴァイオリン専攻卒にして、二玄社『SUPER CG』元編集記者、そしてイタリア在住21年と脈絡なき人生を歩んできたものの、おかげで妙に顔が広い。今日、日本を代表するイタリア文化コメンテーターとして執筆活動に携わると共に、NHKラジオフランス語テキストでも活躍中。10年以上にわたるNHK『ラジオ深夜便』レギュラーリポーター、FM横浜『ザ・モーターウィークリー』季節ゲストなど、ラジオでも奮闘している。『Hotするイタリア』『イタリア発シアワセの秘密 ― 笑って! 愛して! トスカーナの平日』(ともに二玄社)、『カンティーナを巡る冒険旅行』『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(ともに光人社)、電子書籍『イタリア式クルマ生活術』(NRMパブリッシング)など数々の著書・訳書あり。

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