開発の先に見えてきた2つの方向性

いま自動運転を巡ってあらゆる企業が連携の道を模索しているわけだが、その技術開発には2つの方向性が見えてきた。ひとつはPOV(Personally Owned Vehicle)と呼ばれる個人向けのクルマの自動運転だ。当面のターゲットは高速道路での渋滞時の自動運転である。車両は車速30km/h未満のノロノロ運転を代行してくれるが、渋滞解消や危険察知の際には人間がハンドルを握らなければならない。その次に目指すのはより高速での自動運転の実現、そして人間が一切ハンドルを握らない高度な自動運転だ。

もうひとつはMaaS(Mobility as a Service)と呼ばれる新しい移動サービス向けの車両だ。こちらはビジネスモデルも含めて多様なアイデアが出ているのだが、イメージとしてはコミュニティーバスの自動化が近い。人間がハンドルを握らない完全自動運転で、低速かつ一般道の決められた運行ルートだけを走行する。MaaSはバスなどの運転手不足を解決する手段として注目されており、いま日本各地で実証実験が行われている。

POVとMaaS用車両では目指す自動運転の姿も、対象となる市場もまったく違う。POVはいまの自動車と同様にカッコよさや乗り味といったものが要求されるが、MaaS用車両の買い手は事業者なので車体の見た目やバリエーションなどへの要求は低い。技術的には車載センサーなどの共通項はあるものの、両者の研究開発の方向性は異なっている。

そしてホンダとGMクルーズも、トヨタとソフトバンクも、ターゲットはMaaSだ。新興企業と提携してOEMでMaaS用車両を作り、別のラインでPOVの自動運転を開発するというのがいまのトレンドといえる。

ルノー・日産はグーグルファミリーのWaymoと提携することでMaaS市場に大きなプレゼンスを発揮するとともに、POV開発にリソースを集中できる可能性があるわけだが、果たしてそうなるかどうか。今後の動向から目が離せない。

(文=林 愛子/写真=Waymo/編集=堀田剛資)

「ジャガーIペース」をベースとしたWaymoの自動運転車。いま自動運転技術は、個人向けのPOVとMaaSと呼ばれる移動サービス向けの、2つの方向で開発が進められている。
「ジャガーIペース」をベースとしたWaymoの自動運転車。いま自動運転技術は、個人向けのPOVとMaaSと呼ばれる移動サービス向けの、2つの方向で開発が進められている。拡大
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