“夏”は満たすが“冬”は満たさず

そんなクロスクライメートのテストイベント最後のセッションは、メーカー自らが「苦手」と告白する凍結路面でのチェックだった。新雪が踏み固められ、さらに何台ものクルマが通過して氷盤が顔をのぞかせているような路面は、当然「歩くのも難しい」という状況。そうしたシチュエーションで人間の何十倍もの重量のクルマを走らせ、さらに曲げたり止めたりしようというのだから、そこでタイヤに求められる能力の大きさは、容易に想像ができようというものだ。

まずは無謀を承知でエナジーセイバー装着の「日産リーフ」でスタート……しようと思っても、さすがにこれは「ほとんど手も足も出ない」という状態だ。ジワリと微妙なトラクションのサジ加減は、本来はモーター駆動車の得意とするところ。それでもあまりのタイヤのグリップ力の低さに、前にも後ろにもほとんど進むことがままならない。そもそも、平たん路面ゆえに何とか止まっていることができている状態で、これでわずかでも傾斜がついた場合、4輪ロック状態のまま“下流”へと滑っていくことになるに違いない。

一方のクロスクライメート装着車両でも、さすがにこの状況では苦戦。なんとかスタートは切れても、その先思い通りのコントロールは行えず、下手をすればこちらもたちまちスタックの憂き目に遭って、スタッドレスタイヤの必要性を痛感させられることになった。

普通の夏タイヤより多少割高となるであろう価格面に目をつぶれば、遜色のないグリップ力や静粛性の高さが確認できているだけに「ピュアな夏タイヤの代替アイテム」として、一年を通して装着するという使い方は十分リーズナブルだといえる。

一方で、十分に“急場しのぎ”にはなるものの、やはり限定的な雪上での能力や、スタッドレスタイヤに対しては明確な差のある凍結路面上での性能からすれば、これを「冬タイヤ(スタッドレスタイヤ)の代替アイテム」として用いるのは推奨できない。

そうした特徴を踏まえた上で、自身の行動範囲と相談して用いるのであれば、確かにこれ1アイテムですべてのシーズンを安心して乗り切ることができそうではある。「雪も走れる夏タイヤ」は、なかなか言い得て妙なキャッチフレーズなのであった。

(文=河村康彦/写真=日本ミシュランタイヤ/編集=近藤 俊)

凍結路面における走りも体験。試乗車の「日産リーフ」で筆者が苦戦したとおり、性能上は「アイスバーンには非対応」と明記されている。
凍結路面における走りも体験。試乗車の「日産リーフ」で筆者が苦戦したとおり、性能上は「アイスバーンには非対応」と明記されている。拡大
2015年にヨーロッパで発売した際のアンケートでは、ユーザーの96%が「性能に満足している」と答えたとのこと。日本市場では、「クロスクライメート」シリーズの性能に満足できなかったユーザーに対して、購入から60日以内であれば全額返金する保証プログラムが実施されている。
2015年にヨーロッパで発売した際のアンケートでは、ユーザーの96%が「性能に満足している」と答えたとのこと。日本市場では、「クロスクライメート」シリーズの性能に満足できなかったユーザーに対して、購入から60日以内であれば全額返金する保証プログラムが実施されている。拡大
ミシュランの「クロスクライメート」は、同社の「エナジーセイバー プラス」と同等以上のロングライフ性と静粛性もセリングポイントとなっている。
ミシュランの「クロスクライメート」は、同社の「エナジーセイバー プラス」と同等以上のロングライフ性と静粛性もセリングポイントとなっている。拡大
「ミシュラン・クロスクライメート」では、シャーベット状の雪道や圧雪路のほか、高速道路の冬用タイヤ規制区間が走行できる。(※全車チェーン規制の際は、スタッドレスタイヤを含むすべてのタイヤでチェーン装着が必要)
「ミシュラン・クロスクライメート」では、シャーベット状の雪道や圧雪路のほか、高速道路の冬用タイヤ規制区間が走行できる。(※全車チェーン規制の際は、スタッドレスタイヤを含むすべてのタイヤでチェーン装着が必要)拡大
あなたにおすすめの記事
新着記事