排気量と数字の逆転現象も

しかし、モデル名から排気量がわかりにくくなったのは、いまに始まったことではない。例えば「BMW 3シリーズ」の場合、モデル名の下2桁は排気量を示していると思われがちだが、先々代のE90型では3リッター直列6気筒ターボ搭載モデルを「335i」と呼んでいた。また、先代のF30型では1.5リッター直列3気筒ターボモデルを「318i」と呼び、2リッター直列4気筒ターボモデルをパワーの違いで「320i」と「328i」と呼び分けていた。

「メルセデス・ベンツCクラス」も、現行のW205型から名前と排気量が一致しなくなった。最新版では、1.6リッター直列4気筒ターボモデルが「C180」で、より排気量が小さい1.5リッター直列4気筒ターボが「C200」と逆転現象が起きている。ただ、これには理由があって、1.6リッターターボの最高出力が156psであるのに対し、1.5リッターターボは同184psで、さらにC200にはマイルドハイブリッドシステムが搭載されるため、パフォーマンスはC180を明らかに上回っている。

このように、ダウンサイジングターボやモーターアシストを採用するようになり、排気量の大きさだけではパフォーマンスがわかりにくくなったことから、数字を“水増し”して実力にあった名前にしようとしたBMWとメルセデス・ベンツ。これに対してアウディは、よりシステマチックなネーミング法を取り入れた。パワートレインの出力に応じて25から70まで5刻みの数字を当てはめたのだ。具体的には以下のようになる。

  • 25:80kW以下
  • 30:81kW〜91kW
  • 35:110kW〜120kW
  • 40:125kW〜150kW
  • 45:169kW〜185kW
  • 50:210kW〜230kW
  • 55:245kW〜275kW
  • 60:320kW〜340kW
  • 70:400kW以上

数字の割り振りが等間隔でないことや、該当する出力がなく「160kWの場合はどうするんだ?」といった疑問は残るが、こうすることで、同じ2リッターエンジンでも、ガソリンのQ5 45 TFSIのほうが、ディーゼルのQ5 40 TDIよりも出力が大きいことはすぐにわかるし、プラグインハイブリッド車や排気量という概念がない電気自動車の「e-tron」でも、同じネーミングルールが使えるというメリットがある。

その一方で、2桁の数字を見ただけではどんなエンジンを搭載しているか直感的にわからなくなってしまったのは困りもので、BMWやメルセデスを含め、「個人的には昔ながらの名前がよかったなぁ」と思う、いち業界関係者の私である。

(文=生方 聡/写真=アウディ ジャパン/編集=藤沢 勝)

オフィシャルウェブサイトを見てみると、「A1」や「Q3」「TT」など、すでに海外で新型または改良型が発表されていながら日本に導入されていないモデルには、「2.0 TFSIクワトロ」といった従来どおりのグレード名が用いられている。
オフィシャルウェブサイトを見てみると、「A1」や「Q3」「TT」など、すでに海外で新型または改良型が発表されていながら日本に導入されていないモデルには、「2.0 TFSIクワトロ」といった従来どおりのグレード名が用いられている。拡大
「RSシリーズ」と「Sシリーズ」、さらに「R8」(写真)については、2桁数字を用いたネーミングルールの対象外とされている。
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