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ジープ・ラングラー アンリミテッド サハラ ローンチエディション(4WD/8AT)

わかった人がつくったクルマ 2019.02.22 試乗記 11年ぶりのフルモデルチェンジで登場した「JL型」こと新型「ジープ・ラングラー」。“民生クロカンの元祖”ともいえるクルマの最新版は、どのような走りを見せるのか? 3.6リッターV6エンジン搭載車で確かめた。

最大のトピックは4WDシステム

現行JL型ジープ・ラングラーの最大の注目点のひとつは、天候や路面等の状況に関係なく4WD車として常時気兼ねなく使えるようになったことである。「セレクトラックフルタイム4×4」の「4H AUTO」を選択しているときがそう。主駆動輪はリア2輪。フロントへの駆動力は油圧多板クラッチかなにかを経由して伝えられる。いわゆるトルクスプリット型の……と書いてしまうと最近のヨンク乗用車はたいがいそれなのだけど、ラングラーの場合、100%のリア2輪駆動車にもなれる(2H)。それと、いわゆる直結ヨンク車にもなれる(4Hおよび4L)。

トルクスプリット4WDのほとんどのクルマは「普段はほぼFF(あるいはFR)」系で、プレス資料にもそう書いてあったりする。このJLラングラーの場合、4H AUTOは「普段はほとんどFR」ではあまりない。2Hモードと乗り比べてみると誰でもわかるが、クルマの動き等が明らかに違う。いちばんわかりやすいのはコーナリングのときで、簡単にいうと、2Hのときのほうが曲がってくれやすい。クルマの向きの変わりかたがスルッとユルい。運転していてそれが気持ちイイときはごくフツーにあるし、ハンドル操作に対するクルマの向きの変わりかたがもっとギュッと慎重なほうが(いわゆるヨー・ダンピングが高いほうが)安心できるときもある。直進時もふくめて。そのへんはお好みや状況に応じて適宜選んでください、ということでしょう。

インテリアについては、オープン走行時に雨に降られても大丈夫なよう高い耐候性を確保。エンジンスタートボタンは防水シールドで保護されており、ぬれた状態でもエンジンをかけることができる。
インテリアについては、オープン走行時に雨に降られても大丈夫なよう高い耐候性を確保。エンジンスタートボタンは防水シールドで保護されており、ぬれた状態でもエンジンをかけることができる。拡大
日本導入を記念した特別仕様車「アンリミテッド サハラ ローンチエディション」専用の本革巻きシフトノブと、4WD機構を操作するトランスファーレバー。走行モードには「2H」「4H AUTO」「4H」「4L」の4種類が用意される。
日本導入を記念した特別仕様車「アンリミテッド サハラ ローンチエディション」専用の本革巻きシフトノブと、4WD機構を操作するトランスファーレバー。走行モードには「2H」「4H AUTO」「4H」「4L」の4種類が用意される。拡大
エクステリアでは、LED式のヘッドランプやリアコンビランプ、18インチアルミホイール、ボディー同色のフェンダーと脱着式ルーフなどが「ローンチエディション」の特徴となっている。
エクステリアでは、LED式のヘッドランプやリアコンビランプ、18インチアルミホイール、ボディー同色のフェンダーと脱着式ルーフなどが「ローンチエディション」の特徴となっている。拡大

4H AUTO入れっぱなしでも構わないが……

100%FR状態か直結ヨンクかの2択となる従来型セレクトラックの場合、舗装路上を走るときは前者=2Hがお約束(のはず)。舗装路上を4Hの直結ヨンク状態で走っていて困ることは実際にはそんなにないけれど、おそらくメーカーはそういう使いかたを推奨はしていなかった。駆動系への負荷の問題もあるし、ABSやESCが介入した際に、直結ヨンクはそういうのと相性がよくないから。

セレクトラックフルタイム4×4のJLラングラーなら、そんなのは気にしなくていい(というか、4H AUTOで走ればいい)。ただし、2Hと4H AUTOとでは燃費がわりとハッキリ違ってくると思う。トリップコンピューター(AとBの2系統あるうちの一方)をリセットして中央道相模湖インター付近から首都高2号線荏原出口までの70.5km区間を走る途中でパーキングエリアへ入って停止して4H AUTOから2Hへ切り替えてすぐ再スタートしてみたところ、2Hにした直後から、平均燃費の数字の上がりかたのペースが目に見えてアップした。なお、その70.5km区間の平均燃費の出た目は12.8km/リッター。あとそう、ラングラーのガソリンは、V6でも直4でもレギュラーでOKである。

駆動モードの切り替えは、モード間によっては走行中にやってもOKかもしれない……んですけど、すいません。わからなかったので、停止してからやりました。

「ローンチエディション」に装備される、8.4インチモニターのナビゲーション機能付きインフォテインメントシステム「Uconnect」。さまざまな表示機能が搭載されており、ドライブトレインの作動状態や、車両の傾きなども確認できる。
「ローンチエディション」に装備される、8.4インチモニターのナビゲーション機能付きインフォテインメントシステム「Uconnect」。さまざまな表示機能が搭載されており、ドライブトレインの作動状態や、車両の傾きなども確認できる。拡大
トランスファーケースをリア側から見たところ。通常のSUVでは燃費に配慮して、フルタイム4WDでも2WD主体の走りとなるのが主だが、「ラングラー」ではかなりの頻度で、4輪を駆動して走行している。
トランスファーケースをリア側から見たところ。通常のSUVでは燃費に配慮して、フルタイム4WDでも2WD主体の走りとなるのが主だが、「ラングラー」ではかなりの頻度で、4輪を駆動して走行している。拡大
「ラングラー」の燃費は仕様によって大きく異なり、4ドアの2リッターターボ車は11.5km/リッター、4ドアの3.6リッター車は9.2km/リッター、2ドアの3.6リッター車は9.6km/リッターとなっている(いずれもJC08モード)。
「ラングラー」の燃費は仕様によって大きく異なり、4ドアの2リッターターボ車は11.5km/リッター、4ドアの3.6リッター車は9.2km/リッター、2ドアの3.6リッター車は9.6km/リッターとなっている(いずれもJC08モード)。拡大

長時間乗っていても快適

乗り心地関係。肝心の車体というかフレームがガッチリしているので、簡単にいうと、快適。このテの試乗記には「バネ下重量が……」とか書かれがちな前後リジッドアクスルということもあって、走行中の揺れは出ている。フツーの乗用車の乗り心地とは明らかに違うけれど、乗員の身体にとって不快なタイプの揺れかたでは、簡単にいうと、ない。目に見えて揺れてはいるけれど、その揺れが整理されている……といってもいい。わかりやすい。だから快適だし、クルマの真ん中あたりをビシッと芯が通っている感じがあるし、車重をしっかり感じることもできる。できている。あと新型の特徴ないし特長のひとつとして、下から上への衝撃入力のカドが念入りに丸められているというのもある。それと、ノイズがヨリ静かに。このへんは、フツーにアップデート系。いくらなんでもカタすぎるとかうるさすぎるとかいわれないように。ラングラーも世につれ、である。

たとえばピッチングに関していうと、クルマを真横から眺めてホイールベースの真ん中あたりに揺れの中心点があるような揺れかたは、これは即NG。いわゆるピッチング。車体が水平に、あるいは地面と平行を保ったまま、前後のサスペンションがピッタリ呼吸を合わせて上下に揺れる。これはバウンシングで、上下方向の揺れがすべてバウンシングになっていればバッチリ。最高。このラングラーの場合、完璧なバウンシングとはいえない。いえないけれど、ピッチングの揺れの中心はホイールベースのなかからは外れている。もっというと、前輪のさらにずっと前あたり。これならバウンシングの範囲内といってもいいぐらいなので、よろしい。アタマが左右にフラッとかクラッと系の気になる、あるいは不快な忙しい揺れもないし。要するにこのラングラー、長時間ずっと乗りっぱなしでも酔わない。酔わなかった。

「ローンチエディション」に装備されるレザーシート。運転席と助手席にはシートヒーターが装備されるほか、背もたれに「Jeep」のロゴが施される。
「ローンチエディション」に装備されるレザーシート。運転席と助手席にはシートヒーターが装備されるほか、背もたれに「Jeep」のロゴが施される。拡大
リアシートは4ドア仕様が6:4分割可倒式の3人乗り、2ドア仕様が一体可倒式の2人乗りとなっている。
リアシートは4ドア仕様が6:4分割可倒式の3人乗り、2ドア仕様が一体可倒式の2人乗りとなっている。拡大
「ラングラー アンリミテッド」の荷室容量は、後席をたたんだ状態でおよそ2000リッター。アルパイン製プレミアムオーディスピーカー(9基)が装備される「ローンチエディション」では、荷室の右側に耐候型サブウーファーが搭載される。
「ラングラー アンリミテッド」の荷室容量は、後席をたたんだ状態でおよそ2000リッター。アルパイン製プレミアムオーディスピーカー(9基)が装備される「ローンチエディション」では、荷室の右側に耐候型サブウーファーが搭載される。拡大
ボディーについては、ドアやフェンダーなどをアルミニウム製とすることで軽量化を実現。スイングゲートの骨格部分にマグネシウムを使用するなどして、十分な剛性も確保している。
ボディーについては、ドアやフェンダーなどをアルミニウム製とすることで軽量化を実現。スイングゲートの骨格部分にマグネシウムを使用するなどして、十分な剛性も確保している。拡大

速度の管理がやりやすい

速度の管理方面。アクセルペダルの操作に関しては、お約束は「もっとチカラがほしければ、もっと踏み込め」。それだけ。ホンのちょっと触っただけのつもりがビュッと出たりとか、そういう心配はしなくていい。エンジンのチカラの余裕は十分ある。あとオートマは、たとえば下り坂のワインディングロードでもDのままでほとんど困らないタイプ。つまり、やってほしくないアップシフトをしない。8速100km/hのときのエンジン回転数は1600rpm、とかそのぐらい。

ブレーキ。初めてこのラングラーを運転して初めてブレーキペダルを踏んだときにもし「アレ?」とか「うわっ」があるとしたら、その原因は、制動Gが体感できるまでのペダルの空走ストロークというかアソビのストロークが大きめだから。そこから先は、いまのクルマにしてはかなり思ったとおりの“筋力勝負”でしっかりとブレーキをかけることができる。つまり、扱いやすいブレーキである。

発進や加速や巡航にしろ、あるいは減速や停止にしろ、このラングラーは速度の管理がやりやすい。クルマに対してヘンな警戒心をもつ必要がないので、常にリラックス状態で運転していられる。あるいは、運転していてクルマのほうから急(せ)かされない。急かされないから焦らない。慌てない。このへん、すごく大事。安全の基本はそこ、といってもいいぐらいだ。

クライスラー系ブランドの上級モデルではおなじみの「ペンタスター」3.6リッターV6 DOHCエンジン。アイドリングストップ機構の採用などもあり、先代に比べて燃費を約23%改善している。
クライスラー系ブランドの上級モデルではおなじみの「ペンタスター」3.6リッターV6 DOHCエンジン。アイドリングストップ機構の採用などもあり、先代に比べて燃費を約23%改善している。拡大
ツートンのカラーリングが目を引く「ローンチエディション」専用の18インチアルミホイール。リムに施された「ウィリスMB」のアイコンに注目。
ツートンのカラーリングが目を引く「ローンチエディション」専用の18インチアルミホイール。リムに施された「ウィリスMB」のアイコンに注目。拡大
過酷なルビコントレイルでの性能テストをパスしたモデルに与えられる「TRAIL RATED」のバッジ。テスト車のボディーカラーには、「ローンチエディション」専用色の「パンプキンメタリック」が採用されていた。
過酷なルビコントレイルでの性能テストをパスしたモデルに与えられる「TRAIL RATED」のバッジ。テスト車のボディーカラーには、「ローンチエディション」専用色の「パンプキンメタリック」が採用されていた。拡大

真っすぐでよし、曲がってもよし

直進関係。ちゃんと真っすぐ走ります。進路の管理に気をつかわない。ここに関してリジッドアクスルの美点というのは大いにあって、すなわち車輪の保持剛性が高い。トーやトレッドやキャンバーがクニャクニャクニャクニャ動かない。マルチリンクのハンタイ。アウトバーンやニュルブルクリンクでゼンカイ走行をやるにはもしかしてマルチリンクのほうが向いているのかもしれないけれど、実用上はこっちのほうがいい。ありがたい。

コーナリング関係。減速→操舵でフロントはロールに対してしっかり踏ん張り、一方後ろは、出口で加速したときには比較的柔らかく沈み込む。で、(主)駆動輪にグーッと荷重が載っかる感じ。これはつまり、FR車のお約束的なシツケになっているといえる。ハンドル操作は、カーブの見た目に対して「思ったとおり」でOK。フロントのロールのことを気にしないで切っていける。もし足りなかったらもっと切ればいいだけのことで、その場合もズイーッと連続的に切っていける。カクッと段ツキ的なことにならないし、途中でアッとなって手を止めたりとかもない。だからすごく気楽だし、運転がうまくなる系の感じもある。今回は撮影終了時点で大井松田あたりにいたので、帰りがけ、試しにヤビツ峠の狭いクネクネ道をずーっと走ってみた。うん、いいじゃないか。

走りに関しては、最小回転半径が4ドア仕様で6.2m(従来型は7.1m)、2ドア仕様で5.3m(同6.0m)と大幅に小さくなり、取り回しがしやすくなった点も現行型の特徴として挙げられる。
走りに関しては、最小回転半径が4ドア仕様で6.2m(従来型は7.1m)、2ドア仕様で5.3m(同6.0m)と大幅に小さくなり、取り回しがしやすくなった点も現行型の特徴として挙げられる。拡大
足まわりの仕様は、前後ともに5リンクのリジッドアクスル。ステアリング機構はボール循環式で、電動油圧式のアシストシステムが組み合わされる。
足まわりの仕様は、前後ともに5リンクのリジッドアクスル。ステアリング機構はボール循環式で、電動油圧式のアシストシステムが組み合わされる。拡大
「ラングラー」の“下まわり”を車両後方から見たところ。最低地上高は200mmで、渡河性能762mmとアナウンスされている。
「ラングラー」の“下まわり”を車両後方から見たところ。最低地上高は200mmで、渡河性能762mmとアナウンスされている。拡大

これがスタンダードであるべき

「フツーの乗用車とは別世界」。このラングラーのようなクルマに初めて乗ってまず驚くのがその別世界感のキョーレツさだったとしても全然無理のないことだけれど、でもしばらく運転していると、わかってくる。なにがわかるかというと、それが運転するものとして実にマトモであるということだ。「俺さまぐらいになるとラングラーぐらいヘッチャラでウハハハ」というのではなくて、ラングラーだから運転しやすい。疲れない。それはラングラーが別世界系の物件であることと無関係ではないけれど、でももっと重要なのは、これをつくっているジープの人たちがおそらくすごくモノのわかった人たちであること……だと思う。

少なくともリアはリジッドアクスルで。アブラを使ってないパワステはNG。ステアリングのギアボックスはボール循環式。体が喜ぶこと重視で、たとえばそういうぜいたくな(でもホントはむしろ「オーソドックスな」といいたいぐらいの)条件で新車のなかから合格物件を探していく。と、残るのは、たいがいトラックではないか。そう考えると、ラングラーはマイカーとして実にフツーに乗用車でありがたい。もちろん、乗ってちゃんとイイからそういえる。

(文=森 慶太/写真=向後一宏/編集=堀田剛資)

オフロードでの走破性能や耐久性を重視し、いまだにボディー・オン・フレーム式のボディー構造と前後リジッドアクスルの足まわりを守り続ける「ラングラー」。その走り味は独特のものだが、乗用車としてむしろ“まっとう”なものに仕上がっていた。
オフロードでの走破性能や耐久性を重視し、いまだにボディー・オン・フレーム式のボディー構造と前後リジッドアクスルの足まわりを守り続ける「ラングラー」。その走り味は独特のものだが、乗用車としてむしろ“まっとう”なものに仕上がっていた。拡大
副変速機のギア比は、ハイレンジが1.000、ローレンジが2.717。「4L」選択時には、ATが“2速スタート”となる。
副変速機のギア比は、ハイレンジが1.000、ローレンジが2.717。「4L」選択時には、ATが“2速スタート”となる。拡大
2018年10月に日本に導入された現行型「ラングラー」。2019年春には、より悪路走破性能に特化した「ルビコン」の導入も計画されている。
2018年10月に日本に導入された現行型「ラングラー」。2019年春には、より悪路走破性能に特化した「ルビコン」の導入も計画されている。拡大

テスト車のデータ

ジープ・ラングラー アンリミテッド サハラ ローンチエディション

ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4870×1895×1840mm
ホイールベース:3010mm
車重:1980kg
駆動方式:4WD
エンジン:3.6リッターV6 DOHC 24バルブ
トランスミッション:8段AT
最高出力:284ps(209kW)/6400rpm
最大トルク:347Nm(35.4kgm)/4100rpm
タイヤ:(前)255/70R18 113T M+S/(後)255/70R18 113T M+S(ブリヂストン・デューラーH/T 685)
燃費:9.2km/リッター(JC08モード)
価格:530万円/テスト車=541万6676円
オプション装備:フロアマット<プレミアム>(4万8600円)/ETC車載器(1万4256円)/スペアタイヤカバー(1万8360円)/カーゴ・シートバックトレイ(3万5460円)

テスト車の年式:2018年型
テスト開始時の走行距離:4538km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(2)/高速道路(6)/山岳路(2)
テスト距離:362.4km
使用燃料:45.0リッター(レギュラーガソリン)
参考燃費:8.1km/リッター(満タン法)/8.1km/リッター(車載燃費計計測値)

ジープ・ラングラー アンリミテッド サハラ ローンチエディション
ジープ・ラングラー アンリミテッド サハラ ローンチエディション拡大
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