期待値が高すぎて
メルセデス・ベンツA180スタイル……369万円

今回の試乗会で一番楽しみにしていたのがAクラス。スポーティーかつ強靱(きょうじん)さを強調した先代に比べ、新型のエクステリアは、いい意味で脱力系。こなれ感もあって、エレガントさも増している。一方インテリアは、横長のディスプレイが未来的で、ワクワクが止まらない。

走りはというと、発進時からデキスギ感たっぷりで、即ノックアウトされてしまった。ステアリングはキレッキレなのに、せかすような動きはまったくない。足まわりはとてもしなやかで軽快さも増している。可憐(かれん)に自在に滑るような身のこなしに、気分はすっかり氷上のプリンセス・浅田真央だ。

では、メルセデス車で初めて搭載されたという対話型インフォテインメントシステム「MBUX(メルセデス・ベンツ・ユーザー エクスペリエンス)」の実力は?

「ハイ! メルセデス」と問うと、即座に「何を行いますか?」と女性の音声で返ってきた。「近くのレストランを探して」と指示すると、近隣のファミレスなど3件がヒット、音声案内とともに、ディスプレイにも表示された。スゴイ。

ところが、ラジオの選局やJR主要駅への目的地設定を行ったところ、ラジオでは4回も指示を繰り返したし、駅にいたっては何度お願いしても設定してもらえなかった。残念! 

メルセデスによれば、「人口知能による学習機能で、特定のユーザーに適応する個別対応能力を備える」とのこと。オーナーになれば、ディープラーニングにより、使いやすく進化するということかもしれない。が、ドライバー交代が頻繁に行われる30分足らずのチョイ乗りでは、その高い能力を確かめることはできなかった、ということか。

今回の試乗では、期待値まで到達していたとはいえないが、クルマと人間との対話を実現したという進化には目を見張るものがある。しかも、その最新技術がエントリーモデルのAクラスに搭載されているというのも画期的だ。“最善か無か”というスローガンは今でも生きているのだ。

そうだ、次に試乗する時には、こうたずねてみよう。
「ハイ! メルセデス、私をオーナーにしてくれる?」

(文=スーザン史子/写真=峰 昌宏)

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