たゆまぬ切磋琢磨が日本車を成長させる

マツダは今や技術面でもデザイン面でも、業界で最も先進的なイメージを持たれているのではないだろうか。2002年に「Zoom-Zoom」キャンペーンを開始した頃は村上春樹に『海辺のカフカ』でデザインの凡庸さをディスられていたから、隔世の感がある。2006年からは「Nagare」というデザインテーマのもとにコンセプトカーを次々に発表し、2010年に「魂動(こどう)−Soul of Motion」として結実させた。

不首尾に終わったこともある。2015年に「デミオ ミッド・センチュリー」を発表した際に「半年に一度は特別なデザインを与えたモデルを提供していきたい」と説明していたが、実現していないようだ。「CX-3」はスポーティーなハンドリングをウリにしていたが、代償として乗り心地に難が出てしまったことは否定できない。

SKYACTIV-Xを体感してみたいし、写真で見るマツダ3のリアクオーターの形状には心引かれる。きっと新たな世界を見せてくれるのだろうと思いつつも、今どちらかを選べと言われたら、乗ったことのあるカローラ スポーツに軍配を上げるしかないだろう。道を走っていて見かけた後ろ姿がステキだったし、CMで中条あやみがハンドルを切るしぐさをするのがかわいいのも高ポイントだ。

そんなことより、カローラとマツダ3を比較するという企画が成立するようになったことを喜びたい。日本のCセグメントカーがライバルとして挙げるのは必ず「フォルクスワーゲン・ゴルフ」で、国内の競合車ではなかった。先代「オーリス」のマイナーチェンジを担当した主査にゴルフに勝っているかと聞いたら、「……正直に言いますね。まだまだです」という答えが返ってきた。カローラ スポーツの主査もゴルフの美点を語っていたが、「出だしのスムーズな動き」は上回ったと胸を張っている。

日本の自動車メーカーは絶対王者のゴルフを研究し、長らく精進を重ねてきた。ゴルフはこれからも水準器であり続けるだろうが、国内での競争が激化すれば日本のクルマ全体の底上げにつながるはずだ。

(鈴木真人)

デザインについても新しい取り組みに積極的に挑み続けるマツダ。新型「マツダ3」も、他のどんなクルマにも似ていないデザインに仕上がっている。
デザインについても新しい取り組みに積極的に挑み続けるマツダ。新型「マツダ3」も、他のどんなクルマにも似ていないデザインに仕上がっている。拡大
「トヨタ・カローラ スポーツ」のリアビュー。
「トヨタ・カローラ スポーツ」のリアビュー。拡大
今も昔もCセグメントハッチバックのベンチマークとされている「フォルクスワーゲン・ゴルフ」。
今も昔もCセグメントハッチバックのベンチマークとされている「フォルクスワーゲン・ゴルフ」。拡大
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