その思想はいつか生かされる

ヴィジヴ アドレナリン コンセプトは、そんな感じで多くのスバルファンに好印象を与えたが、ここで気になるのが「どうせ市販車は大幅に異なる姿になるのでは?」という懸念だろう。

「コンセプトカーは良かったのに、市販車になると残念になる」と評価されがちなのは、スバルに限らず、ショーモデルやコンセプトカーの“あるある”のひとつになっている。見る側としても、コンセプトカーはショーモデルならではの過剰な演出が施されているものだと理解はしているつもりだが、それでも、市販車はあまりにもかけ離れすぎた姿になっているのでは? などと思ってしまうことがある。

「ヴィジヴ」シリーズは、最近のスバルが推し進めるデザイン戦略「ダイナミック×ソリッド」(躍動感と塊感の融合)をわかりやすいカタチとして表現するもので、やはり「あくまでコンセプトを示唆するもの」と解釈すべき存在であると、あらためて認識し直さねばならない。

ヴィジヴが初めて登場したのは2013年3月のジュネーブモーターショーで公開された「ヴィジヴ コンセプト」で、次世代のクロスオーバーSUVの姿を表現したものだった。翌年のジュネーブモーターショーでは「ヴィジヴ2コンセプト」に進化し、「ダイナミック×ソリッド」の思想を本格的に表現。日本カーデザインコンセプト大賞を受賞するなど、幅広い層から高い評価を受けた。跳ね上げ式&スライド式のドアなどのド派手な機構が市販車に反映されることはなかったが、水平対向エンジンのピストンをイメージさせる「コの字」を強調した前後のライトや、リアビューのフォルム、全体的なたたずまいは現行型XVと共通する部分がとても多い。今見ると、ヴィジヴ2で提案されたデザインコンセプトの多くは、意外と今の市販車に反映されていることが確認できる。ヴィジヴシリーズは、「走りは良いけどデザインに難あり」などと評価され続けてきたスバル積年の課題克服に挑戦する象徴的存在として理解したい。

ヴィジヴ アドレナリン コンセプトがイメージそのままに市販化されることはないかもしれないが、前述のとおり強くアピールされているスバルの設計思想は、市販車にもしっかり反映されるはずだ。

(文=マリオ高野/写真=佐藤靖彦、スバル/編集=関 顕也)

凹凸に富んだバックドアパネル。リアコンビランプやルーフスポイラーの造形は、将来のスバル車に反映される?
凹凸に富んだバックドアパネル。リアコンビランプやルーフスポイラーの造形は、将来のスバル車に反映される?拡大
サイドビューでは、強さとともに軽快さも表現されている。
サイドビューでは、強さとともに軽快さも表現されている。拡大
六角形のグリルは、他モデルにも見られるスバル車ならではのディテール。Aピラーの付け根には、ドアミラーの代わりに小さなカメラが添えられる。
六角形のグリルは、他モデルにも見られるスバル車ならではのディテール。Aピラーの付け根には、ドアミラーの代わりに小さなカメラが添えられる。拡大
あなたにおすすめの記事
新着記事