記しておきたい“空気感”

筆者は日産やルノー、そして同じくアライアンス関係にある三菱に何ら忖度(そんたく)する必要はない立場だ。だが、司法に関する十分な知識がないことを理由に今日までゴーン問題に触れなかった。

しかしながら、日本のメディアの報道にみられる「世界がゴーン問題に注目」という雰囲気は、フランスのすぐ隣のイタリアでも当てはまらない。「過去の事件になりつつある」とかいうことではなく、関心がないのである。

そうした今どきの言葉で言うところの“空気感”は、早いうちに書いておいたほうがいい。歴史を語るとき、とかく市民レベルの視点は看過されがちであり、のちに振り返ろうとしたときに困難を極めるからだ。19世紀末のオーストリア=ハンガリー帝国の興亡に関する情報はすぐに見つかっても、当時のウィーンでは、馬車から排出される馬ふんの山が街のあちこちにできて悪臭を放っていたことをつづった本は限られている。

本稿は筆者ができる数少ないゴーン問題へのアプローチであり、読者諸兄が引き続きこの話題を追うときに、わずかでも役に立てればうれしい。

(文と写真=大矢アキオ<Akio Lorenzo OYA>/編集=藤沢 勝)

2012年パリモーターショーで。
2012年パリモーターショーで。拡大
2014年のパリモーターショー。プレスカンファレンス後のフォトセッションでは、毎回カメラマンたちの「プレジダン(会長)!」の声に応え、カメラに笑顔を向けていた。
2014年のパリモーターショー。プレスカンファレンス後のフォトセッションでは、毎回カメラマンたちの「プレジダン(会長)!」の声に応え、カメラに笑顔を向けていた。拡大
大矢 アキオ

大矢 アキオ

コラムニスト。国立音楽大学ヴァイオリン専攻卒にして、二玄社『SUPER CG』元編集記者、そしてイタリア在住21年と脈絡なき人生を歩んできたものの、おかげで妙に顔が広い。今日、日本を代表するイタリア文化コメンテーターとして執筆活動に携わると共に、NHKラジオフランス語テキストでも活躍中。10年以上にわたるNHK『ラジオ深夜便』レギュラーリポーター、FM横浜『ザ・モーターウィークリー』季節ゲストなど、ラジオでも奮闘している。『Hotするイタリア』『イタリア発シアワセの秘密 ― 笑って! 愛して! トスカーナの平日』(ともに二玄社)、『カンティーナを巡る冒険旅行』『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(ともに光人社)、電子書籍『イタリア式クルマ生活術』(NRMパブリッシング)など数々の著書・訳書あり。

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