スタバに行けるカフェレーサー
ドゥカティ・スクランブラー カフェレーサー……142万5000円
先に明かしてしまうなら、この日乗ったオートバイの中で“今日イチ”だったのがこのスクランブラー カフェレーサーだ。四輪も二輪も、軽量コンパクトな“ボーイズレーサー”好き、という個人的好みは多分にあるので、その上での話とご理解ください。
803ccの空冷Lツインは、スクランブラーの標準モデル「アイコン」と共通だ。73psの最高出力と67Nmの最大トルクも同じ。いっぽうこのカフェレーサーの特徴はそのディメンションとライディングポジションにある。
標準のスクランブラーより立たされたキャスターアングル、短いホイールベースに、前後17インチホイールを履くカフェレーサーは、800ccクラスのロードバイクとは思えないぐらいコンパクトだ。だがセパレートハンドルやバックステップによる前傾姿勢はそれほどキツくない。アラフィフオヤジでもなんとか耐えられるぐらいの緩やかさなのがうれしい。
スクランブラー カフェは、手の内に収まるエンジンパワーと軽快なハンドリングがとても楽しい。その走りの魅力をひと言で言うなら「意のまま感」だ。曲がりたい方向に視線を送るだけで、車体がスッとそちらを向いてくれるような乗り手との一体感がある。
デビューしたときは、「ブラックコーヒー」と呼ばれる黒いカラーだけだったが、新型カフェレーサーはブルーのフレームにシルバーのタンクを組み合わせ、旧タイプの「DUCATI」ロゴも相まってグッと70’sなテイストになった。サイドのアルミプレートに描かれた「54」のナンバーは、かつてのドゥカティのワークスライダー、ブルーノ・スパジャーリのゼッケンに由来する。
レトロ感あふれるデザインはオヤジの大好物である。またがった瞬間「やるぜぃ」と思わせてくれるヤンチャさもあり、まさに回春剤のようなバイクだ。
ひとつ気になるとすれば、「スクランブラー」なのに「カフェレーサー」という、若干節操のないコンセプトとネーミングだが、あまりカタいことは言わずにカジュアルに付き合うのがよいと思う。
もともと“カフェレーザー”とは、1970年代にカフェからカフェへと命がけのレースを繰り広げた若者たちが駆ったカスタムマシンが由来だが、このスクランブラー カフェなら「ちょっと近くのスタバまで……」という軽いノリでまたがるのが似合うのではないだろうか。
(文=河西啓介/写真=三浦孝明/編集=堀田剛資)
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