“走り重視”のドライバー向き
そんな新タイヤを装着してのチェック走行は、トヨタの「アルファード」や「ノア」、フォルクスワーゲンの「トゥーラン」といったミニバンや、「ルノー・カングー」「スズキ・スペーシア」といったボディーの“縦(=高さ)横比”が大きいモデルを用いて行った。
いずれのモデルでもまずは共通して感じられたのは、大きめのブロックを採用することで危惧されたパターンノイズが、実際にはほとんど気にならないということだった。特に、2人のゲストとそれらの人間が持ち込んだ荷物を想定したトータル160kgのウェイトを2列目シートとラゲッジスペースに搭載した、RV504とRV505を装着したアルファード同士での比較では、むしろ新タイヤのほうが「静粛性は高まっている」と感じられた。車両個体の差が影響した可能性も完全には排除できないものの、「RV505を装着したモデルの方が、ステアリングに伝わる反力が強くなった」というのも、確かな印象の違いだった。
一方、RV505を装着しての単独での印象ではあるものの、トゥーランやノアでは「ちょっと乗り味が硬いかな」という印象を抱いたのも事実である。
そもそも、純正のタイヤを装着していても硬質な乗り味がひとつの特徴であるトゥーランの場合は、そうした印象もいわば“想定内”といえる。
一方ノアの場合は、車両そのもののボディー剛性の低さが振動の減衰の鈍さにつながってしまった印象だ。このモデルの場合、快適性は「“走り”を犠牲にしたタイヤを純正装着することで確保されていた」という感が強い。そのギリギリのラインを、やや“走り方向”に振って設計されたRV505を装着することで、越えてしまったという印象だった。
さらに、軽自動車のスペーシアの場合には「まだ“ふらつき”感が気になった」というのが正直な感想。トレッドに対して極端に背が高いというディメンションを持つこのモデルの場合、「もはやタイヤのみではどうすることもできない」というのが現実だろう。
こうして、全般的には「ノイズ面が悪化することなく、走りのしっかり感が向上する」と、そんな評価を与えたくなるのがRV505という新商品の仕上がりだった。裏を返せば、「多少の“ふらつき”感は許すので、とにかく路面への当たりがソフトなほうがいい」といったユーザーには、また別の選択肢がありそうとも感じられたということだ。
(文=河村康彦/写真=住友ゴム工業/編集=近藤 俊)
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