スピードの向上で空力が課題に

フレームとゴムを組み合わせて雨滴を拭き取るパーツがワイパーブレードで、モーターによって左右に往復運動するアームに取り付けられる。消耗品なので、交換可能になっていることが一般的だ。雨滴をすべて除去するのではなく、薄い水の膜を均一に広げることを目的としている。天然ゴムを用いて作られるが、直接ガラス面に触れるリップにはコーティングが施されることが多い。

グラファイトをコーティングすると摩擦抵抗が減少し、ビビリや拭きムラの発生を抑える。シリコンコーティングは、ガラスにはっ水効果をもたらす。鉄やアルミニウムなどの金属製フレームは騒音を発生しやすいので、間に樹脂をはさみ、静粛性を高めたものが作られた。軽量化のために全体を樹脂化した製品もある。

効率よく雨を除去するためには、ガラス面にゴムを密着させる必要がある。圧力を均等にするために考えられたのが、トーナメント型と呼ばれるタイプのワイパーブレードだ。大きなフレームが2つの中型フレームを支持し、さらにそれぞれが小型のフレームに分かれていく構造である。トーナメント表のような形状で、圧力を分散させていくわけだ。

合理的な仕組みではあるが、ラバーが劣化すると拭きムラが出たりビビリ音が発生したりする場合があった。部品点数が多くなることもデメリットとなる。2000年頃からトーナメント型に代わって普及してきたのが、フラット型ワイパーだ。アーチ状のスプリング全体でラバーを押し付ける方式で、面圧分布が均等になりやすい。また、部品点数はトーナメント型に比べて半分ほどというシンプルな構成で、重量も大幅に減らすことができた。

空力的なメリットもある。トーナメント型では構造上フレームの間にスキマができ、高速走行では乱流が発生しやすい。ブレードが振動し、風切り音が出ることもある。フラット型はスプリングをスポイラーで覆うことができるので、風の影響を受けにくいのだ。使用を重ねるとラバーは確実に劣化するので、定期的に交換しなければならない。フラット型はブレード全体を交換しなければならないのが弱点だったが、現在は替えゴムで対応できるようになっている。

構造が簡単なことは、空力に優れた形状に仕上げるにも有利だ。自動車のスピードが上がったことで、ワイパーの空気抵抗も無視できなくなってきた。高速走行時には風圧でブレードが浮き上がってしまうこともある。スポイラーを取り付けることで、空気の力を利用してガラス面に押し付けるフォルムが考案された。

1974年型「日産チェリー」のワイパー。アームは金属製で、構造的にもアームが直接ワイパーブレードを支持するシンプルなものだった。
1974年型「日産チェリー」のワイパー。アームは金属製で、構造的にもアームが直接ワイパーブレードを支持するシンプルなものだった。拡大
ワイパーブレードに均一に圧力をかけるために考案された、トーナメント型のワイパー。ワイパーブレードの支持部がトーナメント表のような形をしていることから、こう呼ばれるようになった。
ワイパーブレードに均一に圧力をかけるために考案された、トーナメント型のワイパー。ワイパーブレードの支持部がトーナメント表のような形をしていることから、こう呼ばれるようになった。拡大
2014年型「ホンダ・レジェンド」のフラット型ワイパー。トーナメント型→フラット型という構造の変化に加え、車両のセンサーが雨を検知し、自動でシステムを作動させる雨滴検知機能の登場も、ワイパーの大きな進化といえる。
2014年型「ホンダ・レジェンド」のフラット型ワイパー。トーナメント型→フラット型という構造の変化に加え、車両のセンサーが雨を検知し、自動でシステムを作動させる雨滴検知機能の登場も、ワイパーの大きな進化といえる。拡大
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