C8に課せられた至上命令

コルベットのアイデンティティーともいえるFRレイアウトから脱却し、ミドシップを選択した最大の理由は「FRレイアウトの限界」に近づいているからだろう。現行C7コルベットの最強モデル「ZR1」は、6.2リッターV8 OHVをスーパーチャージャーで過給し、最高出力755hp/6400rpm、最大トルク715lb-ft(969Nm)/3600rpmという途方もないパワーを発生する。ここまでくると、FRの2輪駆動で御すのはもはや限界だろう。さらなるパフォーマンスアップを図る上で、最大の重量物であるエンジンを車体中央に配置し、後輪への荷重を高めることが不可避となったと思われる。

C5世代以降のコルベットは、世界中のスポーツカーメーカーが開発の舞台とするドイツ・ニュルブルクリンクにおいて積極的に走行テストを重ね、走行性能を飛躍的に高めてきた。スポーツグレードであるZR1や「Z06」のラップタイムは、「ポルシェ911」や「日産GT-R」といった“世界ランカー”に匹敵、あるいは上回るほどで、もちろん新型C8でも世界最速を狙いにいくのは確実。トップグレードでは7分を切ることが必達目標と推定されている。世界基準のスポーツカーであることは、新型コルベットに課せられた使命なのだ。

さらにニュルブルクリンクにおける車両開発と時期を同じくして、コルベットは北米圏以外のモータースポーツにも積極的に参戦を開始した。特にルマン24時間レースへは2000年以降毎年参加し続けており、近年ではLM-GTEカテゴリーで「フォードGT」や「フェラーリ488」「ポルシェ911」「BMW M8」と激しい戦いを繰り広げている。中でも、同じアメリカンスポーツであるフォードGTは、最大のライバルといっていい。

スーパーチャージャー付きの6.2リッターV8エンジンを搭載した、C7世代の「ZR1」。755hpの最高出力と969Nmの最大トルクを発生する。
スーパーチャージャー付きの6.2リッターV8エンジンを搭載した、C7世代の「ZR1」。755hpの最高出力と969Nmの最大トルクを発生する。拡大
1997年に登場したC5より、「コルベット」はドイツのニュルブルクリンク北コースにおいて積極的に走行テストを行うようになった。写真は同コースを走るC6の「ZR1」。2008年5月撮影のもの。
1997年に登場したC5より、「コルベット」はドイツのニュルブルクリンク北コースにおいて積極的に走行テストを行うようになった。写真は同コースを走るC6の「ZR1」。2008年5月撮影のもの。拡大
2018年のルマン24時間レースにて、ライバルである「フォードGT」と接戦を演じる「シボレー・コルベット」。
2018年のルマン24時間レースにて、ライバルである「フォードGT」と接戦を演じる「シボレー・コルベット」。拡大
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