ステアリングカバー恐るべし

しかし、じつは自動車メーカー技術者の口から“ステアリングカバー”という言葉を聞いたのは、個人的に今回が初めてではない。

あれは先代「スズキ・ワゴンR」の試乗会だったか。試乗後に、ある同業先輩氏とシャシー担当技術者の意見交換の場にたまたま同席した。先輩氏は開口一番「パワステ中立付近に不自然な引っかかりがある」と指摘。そういう部分の適応力が高くて許容範囲も広い(=鈍感ともいう)私なんぞは「いわれればそうかもしれないけど、特筆するほど気にならない」が本音だったが、先輩氏は「直進からの切りだしが不快。なんなのか?」と完全に詰問モードである。

その質問に対する先代ワゴンRシャシー担当技術者の回答は「それはもちろん意図的なチューニングであり、その理由はステアリングカバーを使っておられるお客さまから、まっすぐ走りにくいとの声があったから」というものだった。自動車メーカーも本心ではステアリングカバーなど否定したいだろうが、それなりに普及している現実がある以上、それに対応するのも彼らの責任ということか。自動車メーカーは大変である。

それにしても、恐るべし、ステアリングカバー!!! そんなこともあって、新型デイズの試乗後、あらためて近所のホームセンターをのぞいたら、相変わらずのシロモノも健在でありつつも、いかにも薄手で握りやすそうなスポーツタイプも登場していて、それなりに進化もしていた。最近のクルマはイジれる部分も減るいっぽうだし、スマホなどにもみられる日本特有の“なんでもカバーしたい国民性”を考えても、せめてステアリングカバーくらいは安全に共存共栄できる道はないのかな……と思ったりもした令和元年である。

(文=佐野弘宗/写真=郡大二郎、webCG/編集=関 顕也)

新型「デイズ」にはさまざまなシートカバーが用意されるが、純正のオプションパーツカタログ(写真)には、ステアリングホイールのカバー類は掲載されていない。
新型「デイズ」にはさまざまなシートカバーが用意されるが、純正のオプションパーツカタログ(写真)には、ステアリングホイールのカバー類は掲載されていない。拡大
2019年5月現在、カー用品店でもインターネット上の通販サイトでも、数多くのステアリングカバー(ハンドルカバー)が販売されている。写真はオートバックスセブンが扱うJKMブランドのもので、“カフェスタイル”を意識したしゃれたデザインがセリングポイントとなっている。
2019年5月現在、カー用品店でもインターネット上の通販サイトでも、数多くのステアリングカバー(ハンドルカバー)が販売されている。写真はオートバックスセブンが扱うJKMブランドのもので、“カフェスタイル”を意識したしゃれたデザインがセリングポイントとなっている。拡大
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