あの世で泣いて悔しがる?

往年の未来派は、美術やデザインのみにとどまらず、建築や音楽にまでその実験のフィールドを広げていた。

未来派の歴史を克明に記したクラウディア・サラリス著『Storia del futurismo(ストーリア・デル・フトゥリズモ)』によると、未来派は料理にまで変革を試みている。

1931年にトリノのレストランで催された食事会は、イタリア人の食生活にとって今日でも必須であるパスタを否定した。独特のスパイスを用い、料理と料理の間には、これまた未来派音楽による演出を行ったという。そもそも、フォークとナイフも捨てている。

いっぽう今回FCAジャパンが催した500Xのイベントで、特色ある食べ物といえば、「500X」のロゴがスタンプされたマカロンにとどまった。

しかしその晩、あの世の未来派アーティストたちは雲の上から、せきぐち氏によるスタイリッシュなパフォーマンスを、「ああ、俺たちの頃にもVRがあれば」と、泣いて悔しがりながら眺めていたに違いない。

(文と撮影=大矢アキオ<Akio Lorenzo OYA>/編集=藤沢 勝)

■せきぐちあいみ氏によるVRライブ・ペインティングの様子

2019年5月19日夜、東京・港区で行われた「フィアット500X」発表パーティーで。
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せきぐちあいみ氏操るVRデバイス「HTC Vive」のコントローラーは、ディスプレイ上では、さらに未来的なパレットとして表現される。
せきぐちあいみ氏操るVRデバイス「HTC Vive」のコントローラーは、ディスプレイ上では、さらに未来的なパレットとして表現される。拡大
せきぐち氏はVRライブ・ペインティングを米国、ドイツ、タイ、マレーシア、シンガポールなどでも展開している。
せきぐち氏はVRライブ・ペインティングを米国、ドイツ、タイ、マレーシア、シンガポールなどでも展開している。拡大
FCAジャパンのマーケティング本部長ティツィアナ・アランプレセ氏(右)の衣装も、十分に“未来派”であった。筆者(左)と。
FCAジャパンのマーケティング本部長ティツィアナ・アランプレセ氏(右)の衣装も、十分に“未来派”であった。筆者(左)と。拡大
大矢 アキオ

大矢 アキオ

コラムニスト。国立音楽大学ヴァイオリン専攻卒にして、二玄社『SUPER CG』元編集記者、そしてイタリア在住21年と脈絡なき人生を歩んできたものの、おかげで妙に顔が広い。今日、日本を代表するイタリア文化コメンテーターとして執筆活動に携わると共に、NHKラジオフランス語テキストでも活躍中。10年以上にわたるNHK『ラジオ深夜便』レギュラーリポーター、FM横浜『ザ・モーターウィークリー』季節ゲストなど、ラジオでも奮闘している。『Hotするイタリア』『イタリア発シアワセの秘密 ― 笑って! 愛して! トスカーナの平日』(ともに二玄社)、『カンティーナを巡る冒険旅行』『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(ともに光人社)、電子書籍『イタリア式クルマ生活術』(NRMパブリッシング)、『メトロとトランでパリめぐり】(コスミック出版)など数々の著書・訳書あり。

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