「タク上げ」を狙え!

インタビューの結論としては、ジャパンタクシーの機能は高く評価できるものの、デザインは今ひとつで、オリジナリティーに欠けるというものだった。残念ながらイタリアにおける従来の日本車観を覆すものにはならなかった。

デザインに関して筆者の感想を述べれば、“ステータス感向上”という、個人オーナー向け車両には必須の古典的呪縛から解放されるはずのタクシー車両のデザインに、なぜあのような重厚なフロントグリルを付けてしまったのかが理解できない。

タクシーといえば、筆者がイタリアで2000年代初頭に中古で購入したフィアット製小型車「ブラーヴァ」を思い出した。当時ブラーヴァは当地でタクシーに多用されていた。そのうえボディーカラーがタクシーの指定色であるホワイトであったため、筆者が街を走っているとよく間違われ、街を行くお年寄りから手を上げられたものだ。最初は当惑したが、やがて面白くなっていった。

筆者の長年の夢は「トヨタ・センチュリー」をイタリアで乗ることであった。しかし、それがかないそうもない今日、ジャパンタクシーを乗り回してウケたい。

イタリア半島の目と鼻の先にある地中海の小国マルタは左側通行であるため、日本の中古タクシーがたくさんやってくる。ジャパンタクシーが「タク上げ(第2次大戦後の日本で、タクシー上がりの中古車はこう呼ばれた)」でマルタにやってくるころ、物色に行きたいものである。

(文と写真=大矢アキオ<Akio Lorenzo OYA>/編集=藤沢 勝)

サルヴァトーレさんの初代「シトロエンC4ピカソ」。
サルヴァトーレさんの初代「シトロエンC4ピカソ」。拡大
「ジャパンタクシー」も「7人乗りがあればいい」とサルヴァトーレさん。
「ジャパンタクシー」も「7人乗りがあればいい」とサルヴァトーレさん。拡大
目下サルヴァトーレさんの次期主力戦闘機候補は、2代目「シトロエンC4ピカソ」。客待ち中、同僚のクルマを見せてもらう。
目下サルヴァトーレさんの次期主力戦闘機候補は、2代目「シトロエンC4ピカソ」。客待ち中、同僚のクルマを見せてもらう。拡大
イタリアの隣国のひとつであるマルタ共和国は日本の中古タクシー天国である。2008年撮影。
イタリアの隣国のひとつであるマルタ共和国は日本の中古タクシー天国である。2008年撮影。拡大
大矢 アキオ

大矢 アキオ

コラムニスト。国立音楽大学ヴァイオリン専攻卒にして、二玄社『SUPER CG』元編集記者、そしてイタリア在住21年と脈絡なき人生を歩んできたものの、おかげで妙に顔が広い。今日、日本を代表するイタリア文化コメンテーターとして執筆活動に携わると共に、NHKラジオフランス語テキストでも活躍中。10年以上にわたるNHK『ラジオ深夜便』レギュラーリポーター、FM横浜『ザ・モーターウィークリー』季節ゲストなど、ラジオでも奮闘している。『Hotするイタリア』『イタリア発シアワセの秘密 ― 笑って! 愛して! トスカーナの平日』(ともに二玄社)、『カンティーナを巡る冒険旅行』『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(ともに光人社)、電子書籍『イタリア式クルマ生活術』(NRMパブリッシング)など数々の著書・訳書あり。

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