自分が加害者になるのだけは……

ただ、これだけをもってして、「高齢ドライバーは危険」と決め込むのは、それこそ危険だ。

別に、ペダル踏み間違えによる死亡事故が、他の死亡事故に比べて「悪」なわけではない。いうまでもなくすべての死亡事故、重大事故がイカンのですから。

で、全死亡事故に対する、75歳以上の高齢ドライバーが起こした割合はというと、2016年で全体の13.5%(459件)だった。この年、75歳以上の免許保有者は約500万人で、全免許保有人口の6%強となっていた。

つまり、75歳以上の高齢ドライバーが死亡事故を起こす確率は、平均の2倍強。高齢ドライバーの絶対数は年々増加しているので、高齢ドライバーによる事故件数は、ほうっておけば今後も増え続けるのは間違いない。

高齢者予備軍として、自分が加害者になるのはなんとしても避けたい。

で、どうするかですね。

まず、この問題を即座に解決する策はない。いや、例えば明日から「75歳以上の者は全員免許返上が義務!」とでもすれば、高齢ドライバーの事故はなくなるわけだが、死亡事故のリスクが2倍だからって、そんな乱暴なことができるはずがない。16~24歳のドライバーが死亡事故を起こすリスクも、75歳以上とほぼ同じ。だからって「若者は運転禁止」とするわけにはいかんでしょう。

ただ、若者は今後運転が上達していくのが自然だが、高齢者は今後運転能力が落ちていくのが自然。しかも、年齢が上がれば上がるほど落ちるはず。

となるとやっぱり、免許更新時の運転適性検査を、現状より何らかの形で厳しくするという方法以外、ないんじゃないか。

現在は免許更新時(71歳以上は3年ごと)の認知機能検査だけだが、75歳以上は更新期間を短くすることも必要かもしれない。1年ごとに更新が必要となれば、必ずしも生活にクルマが必要でなければ、更新が億劫(おっくう)だからもう免許はいらん、という人も増えるだろう。

警察庁が発表している「75歳以上の運転者による死亡事故件数及び割合(原付以上第1当事者)(平成18~28年)」。75歳以上の高齢ドライバーが起こした割合は、2016年で全体の13.5%(459件)だった。(内閣府ホームページより)
警察庁が発表している「75歳以上の運転者による死亡事故件数及び割合(原付以上第1当事者)(平成18~28年)」。75歳以上の高齢ドライバーが起こした割合は、2016年で全体の13.5%(459件)だった。(内閣府ホームページより)拡大
警察庁が発表している「75歳以上の運転免許保有者数の推移」では、高齢ドライバーの絶対数は年々増加していくと予想されている。(内閣府ホームページより)
警察庁が発表している「75歳以上の運転免許保有者数の推移」では、高齢ドライバーの絶対数は年々増加していくと予想されている。(内閣府ホームページより)拡大
警察庁が発表している「年齢層別免許人口10万人当たり死亡件数(原付以上第1当事者)(平成28年)」によれば、16~24歳のドライバーが死亡事故を起こすリスクも、75歳以上とほぼ同じであることがわかる。(内閣府ホームページより)
警察庁が発表している「年齢層別免許人口10万人当たり死亡件数(原付以上第1当事者)(平成28年)」によれば、16~24歳のドライバーが死亡事故を起こすリスクも、75歳以上とほぼ同じであることがわかる。(内閣府ホームページより)拡大
清水 草一

清水 草一

お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。

あなたにおすすめの記事
新着記事