“ほぼぶつからない”を目指してほしい

もうひとつは、クルマ側の対策である。

現状でも、自動ブレーキなどの安全デバイスは、事故を減らすために確実に効果を上げている。

ただ、ドライバーがアクセルを踏んでいると、自動ブレーキはキャンセルされる。ドライバーが責任を負う以上、ドライバーの操作が優先されるようになっているのですね。

しかし、そろそろソレを見直す時ではないか。年々技術は進歩しているのだから、安全デバイスが「衝突の危険あり」と感知したら、ドライバーの操作(ペダル踏み間違えを含む)を無視して減速していいのではないか?

加えて、赤信号や一時停止標識を認識して、自動ブレーキをかけてもいいのではないか。これらは現状、国が認めていないわけですが、そろそろ認めてもいいんじゃないか。

ただし、クルマが目指すのは、自動運転である必要はない。私は、高齢者が自動運転を使いこなせるとは到底思えない。

現状、ACCを使いこなしている高齢者がどれくらいいるだろう。クルマに運転をゆだねるというのは、一部であっても勇気がいるものだし、完全自動運転でない限り、いざというときにスタンバイするのは、逆に高い技量がいる。

そして、混在交通の狭い路地などを考えると、完全自動運転の実現は不可能だ。できたとしても、とんでもないコストがかかる。

そうではなく、目指すべきは「ほぼぶつからないクルマ」ではないか。正確には、ぶつかりそうになったら、ほぼ衝突被害を軽減してくれるクルマですね。ボルボが目指している“Vision2020”そのものって感じですけど。

クルマが絶対助けてくれるのは絶対ムリだし、ドライバーにリスクを意識させる上でも「ほぼ」でいい。それで事故は激減するはずだ。

このふたつを組み合わせれば、20年後には、日本の年間交通事故死者は、1000人を切っているのではないか。その時私は77歳。もろもろの方策に助けられることで、自分もできるだけ長く運転したいと願っています。

(文=清水草一/写真=池之平昌信/編集=大沢 遼)

「日産リーフ」のエマージェンシーブレーキを体験中の筆者。(写真=池之平昌信)
「日産リーフ」のエマージェンシーブレーキを体験中の筆者。(写真=池之平昌信)拡大
「日産リーフ」は障害物の手前で十分な余裕を持って止まることができた。(写真=池之平昌信)
「日産リーフ」は障害物の手前で十分な余裕を持って止まることができた。(写真=池之平昌信)拡大
「トヨタ・プリウス」に搭載される「Toyota Safety Sense」は、単眼カメラとミリ波レーダーによって、クルマや歩行者、自転車運転者に対して衝突回避または被害軽減を行う。(写真=池之平昌信)
「トヨタ・プリウス」に搭載される「Toyota Safety Sense」は、単眼カメラとミリ波レーダーによって、クルマや歩行者、自転車運転者に対して衝突回避または被害軽減を行う。(写真=池之平昌信)拡大
ボルボは、2008年に「新しいボルボ車での交通事故による死亡者や重傷者を2020年までにゼロにする」というビジョンを発表している。(ボルボホームページより)
ボルボは、2008年に「新しいボルボ車での交通事故による死亡者や重傷者を2020年までにゼロにする」というビジョンを発表している。(ボルボホームページより)拡大
清水 草一

清水 草一

お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。

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