エコなフェラーリなんていらない

458イタリアの1580kgという数字は決して軽くはないが、実際に乗ると猛烈に軽く感じるクルマだった。1800kgのNSXも、まったく重さを感じさせない。どっちも左右駆動力配分によってクルマの向きがクイクイ変わるしブレーキも強力なので。

そこから考えると、SF90ストラダーレも、全然重さを感じさせないだろうことは想像に難くない。

しかし、心はまったく躍らない。

メカを複雑にしまくって、本来痩せた狼(オオカミ)であるべきフェラーリが、約1800kg(たぶん)になってしまっているのだ。テスタロッサも痩せた狼じゃなかっただろ! という突っ込みもあるでしょうが……。

まぁテスタロッサのことはおいて、フェラーリ側にすれば、これは「社会の要請に応えるため」ということだろう。

しかし、本当に社会の要請があるのだろうか? それは建前にすぎなくないか。

SF90ストラダーレが、エコな存在であるはずがない。いや、フェラーリの常で、走行距離の短さや廃車がないことを考えればエコであるともいえるが、フェラーリの走行距離あたりのCO2排出量の削減など、社会にとって無意味だ。

それでも、EUの燃費規制に対応する必要があるとすれば、それは建前のクリアであり、世俗の垢(あか)にまみれることを意味する。

ランボルギーニは、EU規制など顧みず、大排気量自然吸気を守ると宣言しているが、それこそが世俗を超越したスーパーカーのあるべき姿。美しき反骨だ。それに比べてフェラーリは、官憲にペコペコする小市民に見える。

そんな時、ゴードン・マーレイ氏が新型スーパーカーを開発中であることが明らかになった。

「SF90ストラダーレ」というモデル名はスクーデリア・フェラーリの誕生90周年を記念して名付けられた。
「SF90ストラダーレ」というモデル名はスクーデリア・フェラーリの誕生90周年を記念して名付けられた。拡大
「SF90ストラダーレ」のインテリア。メーターには、フェラーリで初めてとなる16インチのフルデジタルスクリーンを採用。
「SF90ストラダーレ」のインテリア。メーターには、フェラーリで初めてとなる16インチのフルデジタルスクリーンを採用。拡大
「SF90ストラダーレ」はリアミドシップのレイアウトを採用している。
「SF90ストラダーレ」はリアミドシップのレイアウトを採用している。拡大
「SF90ストラダーレ」の最高速度は340km/h、0-100km/h加速は2.5秒と発表されている。
「SF90ストラダーレ」の最高速度は340km/h、0-100km/h加速は2.5秒と発表されている。拡大
清水 草一

清水 草一

お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。

あなたにおすすめの記事
新着記事