面質に見る、微妙だけど明確なサジ加減の違い

明照寺:あまり暑苦しくない造形と言ったほうがわかりやすいかな。そういう面でもウマイんですよ。それだけでEVらしさを表現してる。

永福:クールなんですね。

明照寺:そう。クールなんだけど、どう見てもジャガーなんです。

永福:面質がドライというのは?

明照寺:クルマを単純に断面で切ったとしましょう。その断面を見ると、このクルマはすごくボリュームは強いんだけど、一定の“丸さ”に近いんです。普通はもう少し“タメ”をつくりたいんですが。

ほった:つまり、面のRが変わらないということですか?

明照寺:断面の、ちょっとした差なんですけどね。普通のジャガーはもう少しタメをつくって、昔ながらの高級感を演出しています。ところがIペースは、単純な丸さに近い。普通、これをやったら退屈に見えがちなんですけど、このクルマは非常に“造形しろ”が豊かなので、それでも全然大丈夫なんですね。ちょっと難しい話で、ちょっとしたニュアンスの違いなんです。

永福:難しいけど、なんとなくわかります(笑)。

明照寺:同じEVでも、テスラはもうちょっと昔ながらの形状という印象ですね。ややタメがある。そこらへんはすごく微妙なさじ加減で、モデラーとデザイナーのキャッチボールの結果かな。

永福:「モデル3」の実物は見られました?

明照寺:見てますよ。結構大きなクルマという印象でした。決してそんなにコンパクトではない。もっと小さいかなって考えてたんですけど。やっぱり床下にバッテリーを積んで、ある程度航続距離を稼ぐには、それなりにボディーサイズがないと難しいのかなと思いました。テスラの「モデルS」やモデル3は、SUVタイプの他のEVに比べて全高が低いじゃないですか、その分余計に全幅やホイールベースを取っているんでしょうね。

ほった:なるほど。

ジャガー各車のボディーサイドの陰影に注目。まずは「Iペース」から。
ジャガー各車のボディーサイドの陰影に注目。まずは「Iペース」から。拡大
次いでコンパクトSUVの「Eペース」。
次いでコンパクトSUVの「Eペース」。拡大
ジャガー初のSUVとなった「Fペース」。明照寺氏の言う“丸さ"の違い、微妙な面質の違いを感じ取っていただければ幸いである。
ジャガー初のSUVとなった「Fペース」。明照寺氏の言う“丸さ"の違い、微妙な面質の違いを感じ取っていただければ幸いである。拡大
アメリカのEVメーカー、テスラの新型セダン「モデル3」。
明照寺:「思ったよりも大きなクルマでしたね。もっとコンパクトなセダンかと思っていたんですが」
アメリカのEVメーカー、テスラの新型セダン「モデル3」。
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「ジャガーIペース」(手前)と、「テスラ・モデルX」(奥)。
「ジャガーIペース」(手前)と、「テスラ・モデルX」(奥)。拡大
明照寺 彰(めいしょうじ あきら)

明照寺 彰(めいしょうじ あきら)

さまざまな自動車のデザインにおいて辣腕を振るう、現役のカーデザイナー。理想のデザインのクルマは「ポルシェ911(901型)」。

永福ランプ(えいふく らんぷ)
大乗フェラーリ教の教祖にして、今日の自動車デザインに心を痛める憂国の士。その美を最も愛するクルマは「フェラーリ328」。

webCGほった(うぇぶしーじー ほった)
当連載の茶々入れ&編集担当。デザインに関してはとんと疎いが、とりあえず憧れのクルマは「シェルビー・コブラ デイトナクーペ」。

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