トヨタRAV4ハイブリッドG(4WD/CVT)/ホンダCR-VハイブリッドEX・マスターピース(4WD)
運命のシンクロ 2019.07.29 試乗記 同時代に日本で生まれて一時代を築き、徐々に軸足をアメリカに移したのちに日本からフェードアウト……。「トヨタRAV4」と「ホンダCR-V」のたどってきた道のりが見事に一致しているのは何かの偶然だろうか。そして昨今、これまた近いタイミングで国内市場に復活。2台を比較試乗した。ガラパゴスから世界へ
「21世紀に入った現在、日本人のほうが“アメリカ人よりもアメリカーナをうまくつくる”という見方は、すっかり当たり前のものになっている」
残念ながら、これはクルマについての文章ではない。『AMETORA』(デーヴィッド・マークス)に書かれている言葉で、アメリカのファッションを学ぶことから始めた日本が、今やはるかに先を走っていることを評している。
そういう意味ではSUVに関しても同様のことが言えるかもしれない。アメリカでピックアップトラックの荷室部分にボディーをかぶせて乗用車化することから始まったSUVというジャンルは、日本に導入されてローカライズされる。それはガラパゴス的進化だったかもしれないが、結果として日本的SUVは世界に広まっていった。
1994年にデビューしたトヨタRAV4は、悪路走破性を追求するよりも乗用車感覚の乗りやすさや使い勝手を重視したモデルだった。3ドアモデルは全長3705mmというコンパクトなサイズで、若者でも買えるリーズナブルな価格。ヘビーデューティー志向のユーザーだけを相手にするのではなく、気軽でカジュアルな新しい乗り物として登場したのである。売り出し中だったSMAPの木村拓哉をCMに起用したことにも、若々しさをアピールしたいという意図が見えた。
1997年には「トヨタ・ハリアー」がデビュー。こちらには「WILD but FORMAL」というキャッチコピーが添えられていた。所有するセダンの車格がオーナーの出世とパラレルに見られていた時代に、軽やかにヒエラルキーを乗り越えてみせたのだ。国外では「レクサスRX」として販売され、高級クロスオーバーSUVというジャンルを創出したのである。