結局はバッテリーの問題

今も昔も電気自動車(EV)の主要な課題として、「航続距離が限られる」「充電に時間がかかる」「価格が高い」が挙げられる。加えて「購入後の劣化が心配」を入れてもいいかもしれない。言うまでもなく、いずれもクルマ本体というより、バッテリーの問題である。そのため、自動車メーカー(および関連会社)は、既存のバッテリーの性能向上はもとより、まったく新しいタイプのバッテリー開発に心血を注いでいる。

一方、バッテリーの性能が限られるなら、「運用でカバーしよう」というアプローチもある。充電済みのバッテリーを用意しておいて、使用中のバッテリーの残り電気が乏しくなったら、「バッテリーを丸ごと交換する」という方式である。

10年ほど前、東京・虎ノ門で実証実験が行われた、バッテリー交換式のEVタクシーを覚えている人がいるかもしれない。残り電気が心細くなったEVタクシーは、バッテリー交換ステーションに行く。使用済みバッテリーはクルマの底部から落とされ、代わりに充電済みのバッテリーが交換ステーションから提供され、装着される。もちろん全自動。作業に5分とかからない。コロンブスの卵的なトライアルで、「その手があったか!」と大いに感心させられたが、結局、普及には至らなかった。

充電ステーションに大がかりな設備が必要ということもあったが、技術的に日進月歩なバッテリーをメーカー横断的に規格化して、なおかつ交換方式に応じた車台を開発しなければいけないことに、メーカーサイドが難色を示したと聞いている。

ホンダの電動スクーター「PCXエレクトリック」。モーターの最高出力は4.2kWで、一充電あたりの走行可能距離は41kmと公表されている。
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「PCXエレクトリック」のシート下には、48V系の「モバイルパワーパック」が2つ並ぶ。走行時はこれらを直列に接続してシステム電圧を96V系に変更、電力による損失を抑え、システム全体の効率を高める。
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こちらの小型EVは2電源式。あらかじめ搭載されているハイブリッドバッテリーで高出力を実現しながら、車体後部に可搬型の「モバイルパワーパック」を追加することで航続距離を稼ぐ。技アリのEVといえる。
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