入れ替えできて、持ち運べる

ホンダが提案するモバイルパワーパックは、いわばバッテリー交換式EVタクシーのコンパクト版で……と書くといきなり将来が危ぶまれるので、電動アシスト付き自転車のバッテリーを大幅に拡大強化したもの、と解釈したほうがいいかもしれない。サイズはグッと大きく重たくなるが、取り外して持ち運び可能だ。モバイルパワーパックを、個人の所有物ではなくユーザー間で共有する、という構想もある。

例えばコンビニエンスストア、郵便局などに、家庭用冷蔵庫サイズの充電ステーションユニットを設置してもらう。ユーザーは、残り電気が少なくなったパワーパックを持ち込んで充電ユニットに飲み込ませると、代わりに充電済みのパワーパックが吐き出される。ユーザーはラブレターや請求書を郵送したり、ついでにガムや飲料水を購入したりした後、充電済みのパワーパックを片手に提げて、郵便局やコンビニから出ていく。パワーパックの使用状況はIDナンバーで管理され、使われた個数に応じて、後日、銀行口座から代金が引き落とされる……と、そんなストーリーが考えられている。

昨2018年に、ハイブリッドタイプに続いて、純電動式のスクーター、PCXエレクトリックが発表された際には、「そもそも搭載能力が限られるバイクを電動化する意味があるのか」といぶかしんだものだ。いかに車体が軽いとはいえ、航続距離はバッテリー容量に比例するのだから。なるほど、ホンダはスクーター単体ではなく、モバイルパワーパックを用いた社会システム全体を視野に入れていたのですね。

ホンダは、フィリピンのロンブロン島では、風力発電の余剰電気をパワーパックに蓄える実証実験を開始。また、インドネシアのバンドン市では、バッテリーの稼働状況を集中管理するシステムの実証を準備中だ。二輪用のバッテリーや充電ユニットは、四輪のそれらと比べてサイズも予算もコンパクトだから、環境問題に苦慮する東南アジアの国々でも展開しやすいのだ。

「モバイルパワーパック」を充電ステーションから抜き挿ししている様子。バッテリー本体の重量は約10kgで、こうした充電施設が利用できるほか、車体に搭載したままでのチャージも可能。
「モバイルパワーパック」を充電ステーションから抜き挿ししている様子。バッテリー本体の重量は約10kgで、こうした充電施設が利用できるほか、車体に搭載したままでのチャージも可能。拡大
こちらはハーフサイズの「モバイルパワーパック」。重量が大幅に抑えられるというのは、可搬型の製品としては重要なポイントである。
こちらはハーフサイズの「モバイルパワーパック」。重量が大幅に抑えられるというのは、可搬型の製品としては重要なポイントである。拡大
ハーフサイズの「モバイルパワーパック」で駆動する「3E-B18」。下方の黒い部分が本体で、アタッチメントを装着することでさまざまなツールに“変身”できる。今は研究開発段階である。
ハーフサイズの「モバイルパワーパック」で駆動する「3E-B18」。下方の黒い部分が本体で、アタッチメントを装着することでさまざまなツールに“変身”できる。今は研究開発段階である。拡大
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