ショーの裏側で起きたドタバタ劇

パルコ・ヴァレンティーノに関しては、政党「五つ星運動」に所属する市議会議員たちが、以前から反対運動を繰り広げていた。

参考までに政党としての五つ星運動は、タレント出身のベッペ・グリッロ氏によって2009年に設立された。ブログの活用で急速に有権者の支持を拡大。2019年の総選挙で躍進し、同年6月の新内閣では連立政権に参加し、現在に至っている。

五つ星運動所属のトリノ市議会議員たちは、モーターショー会場のヴァレンティーノ公園における設営および撤去期間が1カ月近くにわたることなどを指摘。市民の憩いの場である公園のあり方に反するとして異議を唱えていた。同時に、党が掲げる環境に配慮した社会に、自動車のイベントは相いれないとも主張していた。

困ったのは、トリノ市のキアラ・アッペンディーノ市長だった。1984年生まれで2016年に当選した彼女は、モーターショーで毎回テープカットを行ったり、電気自動車に乗るパフォーマンスを見せたりと、積極的ともいえる姿勢でショーに関わってきた。

ただし、彼女も五つ星運動の出身。つまり“身内”からモーターショー反対論が噴出したわけだ。

腹心のはずだったグイド・モンタナーリ副市長の発言も火に油を注ぐ形となった。「雹(ひょう)が襲って、(モーターショーが)吹き飛んでくれればよかった」というもので、大きな議論の的となった。

名門・トリノ工科大学の教員でもあるモンタナーリ氏は後日発言を撤回したが、事態の収拾を図るべくアッペンディーノ市長は、同氏を名指しで非難した。だが、もはやショー主催者との溝は埋まらなかったようだ。

そうした状況を受けて、五つ星運動の党幹部が急きょトリノ入りするなど慌ただしい展開となった。しかし、ショー主催者からの更新続報は本稿執筆時点までない。

カロッツェリアは3月のジュネーブショーの展示車を持ち込むのが通例。こちらは「ピニンファリーナ・バッティスタ」。
カロッツェリアは3月のジュネーブショーの展示車を持ち込むのが通例。こちらは「ピニンファリーナ・バッティスタ」。拡大
イタルデザイン・ダ・ヴィンチ
イタルデザイン・ダ・ヴィンチ拡大
夕刻になってもスペシャルイベントは続く。ヒストリックカーラン参加車の「チシタリア202クーペ」がスタートのゲートをくぐる。
夕刻になってもスペシャルイベントは続く。ヒストリックカーラン参加車の「チシタリア202クーペ」がスタートのゲートをくぐる。拡大
公園内のヴァレンティーノ城における特別展示。手前はベルトーネが「ディーノ308」をベースに製作した1976年「レインボー」。奥は「ランチア・ラリー037」。
公園内のヴァレンティーノ城における特別展示。手前はベルトーネが「ディーノ308」をベースに製作した1976年「レインボー」。奥は「ランチア・ラリー037」。拡大
大矢 アキオ

大矢 アキオ

コラムニスト/イタリア文化コメンテーター。音大でヴァイオリンを専攻、大学院で芸術学を修める。1996年からシエナ在住。日本を代表するイタリア文化コメンテーターとして語学テキストやデザイン誌等に執筆活動を展開。21年にわたるNHK『ラジオ深夜便』リポーター、FM横浜『ザ・モーターウィークリー』季節ゲストなど、ラジオでも怪気炎をあげている。『Hotするイタリア』『イタリア発シアワセの秘密 ― 笑って! 愛して! トスカーナの平日』(ともに二玄社)、『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(光人社)、『メトロとトランでパリめぐり】(コスミック出版)など著書・訳書多数。YouTube『大矢アキオのイタリアチャンネル』ではイタリアならではの面白ご当地産品を紹介中。

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