BMW 118d(FF/8AT)/M135i xDrive(4WD/8AT)
さよならFR 2019.07.22 試乗記 BMWのエントリーモデル「1シリーズ」が、FFのプラットフォームを用いた3代目にフルモデルチェンジ。駆動方式の変更に際してBMWがこだわったポイントとは? BMWの“おひざ元”であるドイツ・ミュンヘンで、その出来栄えを確かめた。ついに変更された駆動方式
2004年に発売された初代E87系と、2011年に発売された2代目F20系を合わせた販売台数は240万台超。BMWにおいて1シリーズは、今や「3シリーズ」に次ぐ屋台骨へと成長した。それを後ろ支えする市場として日本の存在も大きく、年間1万台前後はコンスタントに販売されている。そのシェアはざっくり5%ほどだろうか。ハイブランドのスーパーカーならいざ知らず、大衆に支持されるCセグメントの輸入車でこの数字は、日本人のBMW好きを示す一例とも言えるだろう。
本国においては実に8年以上ぶりのフルモデルチェンジとなる新型1シリーズは、現行3シリーズや「Z4」に見られるようなG系ではなく、F系、F40という社内モデルコードが与えられている。BMWは開発スタート時にこのコードを決めるというから、そこからは世代をまたぐ長い開発期間がうかがえる。開発陣がそれほどまでに頭を悩ませた理由はなんだったのか。それは、とりもなおさずFRからFFへの駆動方式の大転換だろう。
クルマ好きが思い浮かべるBMWらしさを前面に押し出そうというなら、FRレイアウトほど明快なものはない。もちろん小型実用車としてそれは唯我独尊だ。が、一方でその個性的なエンジニアリングは、限られた車寸内での居住性や積載力の確保においての不利が拭えない。
今回、1シリーズがFF化へと動いたのはまさにここに理由がある。近年、商品企画の段階からカスタマーファーストの姿勢を明確化しているというBMWにとって、この不満の声は無視できなかったということだ。日本で言えばかつて「スターレット」や「ファミリア」がFF化されたのもまったく同様の理由である。FFのクルマに生まれた時から親しみ、FRの経験がまったくないというユーザーがターゲットのど真ん中に入ってきていることも、決断の一因となったことだろう。
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