ニーズの95%はカバーできる

――ケルツさんご自身は、EQCの最大の魅力は何だと思われますか?

ケルツ:なんといっても、エミッションフリーであること。そして、静かである、快適である、スポーティーである……という複数の要素がひとつになっている点だと思います。それと、乗車する前に空調などのコンディションを整えることができるというのは、EVならではのメリットとして挙げられますね。

――他社のEVの中には、車両のリチウムイオンバッテリーに蓄えた電気をインフラとして供給する“有効活用法”を、セリングポイントのひとつに挙げているものもありますが。

ケルツ:われわれも検討はしたのですが、EQCにその機能はありません。この車両から家側に電気を供給するということは考えていないのです。世界の市場を見渡した場合、そうした環境は整備されているとは限りませんし、エネルギーサプライヤーとの関係も考える必要があります。いま、それができる日本は、(世界的には)特殊であるといえるかもしれません。

――一航続可能距離については400kmほど(国内のWLTCモードで400km、欧州の複合モードでは445~471km)と公表されています。数値としては、ライバル車にも多く見られるスペックですが、これはどういう使い方を想定して決められているのでしょう?

ケルツ:まず、重さと距離を比較して考えた場合に400kmが現実的な落としどころになってきます。航続距離は運転の仕方や外気温でも変わってくるもので、時には260~360kmまで落ち込むこともあるでしょう。それでも、家庭でチャージできる環境であれば、たいていフルに使えるはずです。日本のCHAdeMO規格は60kW以下のものが多いのですが、欧州の充電器の出力は110kWあります。急速な充電環境があるか否かというのが、将来的にも重要な要素になってくるでしょう。

そうした中で、例えば私が本国で運転しているケースだと、ニーズの95%はカバーできています。残りの5%は、よほど遠くに行きたいときか、トレーラーのけん引に使いたい場合。でも、そんなときはカーシェアなどを利用すればいいのです。(EQCをはじめとするEVは)年間15万kmも運転するようなユーザーには薦められないかもしれませんが、そうでなければ問題はないと思っていますよ。充電するために2時間半ごとに止まって休憩するのも、私の家族は、むしろ喜んでいるんです(笑)。

(文と写真と編集=関 顕也)

記者団の質問に答えるケルツ氏。「静かで快適なのに、スポーティーなドライビングもできる。それがEQCの魅力ですね」。
記者団の質問に答えるケルツ氏。「静かで快適なのに、スポーティーなドライビングもできる。それがEQCの魅力ですね」。拡大
給電口は2つ。リアバンパー右側(写真左下)には普通充電用の給電口が、右リアフェンダー上部(写真右上)にはCHAdeMO規格の給電口が備わる。
給電口は2つ。リアバンパー右側(写真左下)には普通充電用の給電口が、右リアフェンダー上部(写真右上)にはCHAdeMO規格の給電口が備わる。拡大
一充電あたりの航続距離は、国内のWLTCモードで400kmとされている。
一充電あたりの航続距離は、国内のWLTCモードで400kmとされている。拡大
大型のブラックパネルやマルチビームLEDヘッドライトが特徴的な「EQC」のフロントまわり。
大型のブラックパネルやマルチビームLEDヘッドライトが特徴的な「EQC」のフロントまわり。拡大
ケルツ氏自身、ドイツでは日常的に「EQC」に乗っている。よほど特別な用途でない限り、EQCはドライバーのニーズに応えられると胸を張る。
ケルツ氏自身、ドイツでは日常的に「EQC」に乗っている。よほど特別な用途でない限り、EQCはドライバーのニーズに応えられると胸を張る。拡大
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