あえて“カニバリ”で隙間を埋めるモデル戦略

実は国内で販売されるCクラスとEクラスでは7割、「Sクラス」に至っては9割をセダンが占めるという。またグローバルでみても、セダン市場は活況だ。そもそもAクラス セダンは、アメリカや中国市場を見据えての商品企画でもあり、中国市場ではロングバージョンも用意されている。

一方で国内ではすでにコンパクトなセダンとしては「CLA」があり、Cクラスもある。CクラスとAクラス セダンを比較すると、全長で140mm、全幅で15mm、ホイールベースで110mmほど後者がコンパクトなサイズになるが、全高は20mm高く、FFレイアウトであることも手伝って室内空間の広さはCクラスにも遜色ないものだ。このあたりのカニバリゼーションについてはどう考えているのか尋ねてみた。

「もちろんまったくないとは思っていません。まずCLAは、われわれは4ドアクーペと呼んでいますが、お客さまの多くにそのデザインで選んでいただいています。ある意味ではメルセデスのヒエラルキーに属していないモデルといえるかもしれません。そして、Aクラス セダンとCクラスとではサイズも、駆動方式も、価格も異なります。Cクラスではやはり300万円台の価格は実現できません。エントリーの『C180』が455万円です。Aクラス セダンではエントリーモデルの『A180』が344万円と、300万円台がエントリーのポジションになっています。最上位の『A250 4MATIC』が476万円なんですが、ちょうどここがCクラスのエントリーと重なる価格帯になっています」

あいた隙間をきっちりと埋めていく、実に周到に計算されたモデル戦略というわけだ。顧客層の若返りを図るため、メルセデスは先代Aクラスから、「MFA1」プラットフォームをもとにNGCC(New Generation Compact Cars)という派生車戦略をとった。Aクラスのほか「Bクラス」や「GLA」、そしてCLAといったモデルを展開し、世界的にヒットした。日本でもこの戦略が功を奏し、2015年にそれまで長年にわたってトップをキープしていたフォルクスワーゲンを抜いて、輸入車登録台数No.1となり、現在まで4年連続で、日本で一番売れている輸入車ブランドになった。その戦略が正しかったことの表れだろう。

「Aクラス セダン」のボディーサイズは全長×全幅×全高=4549×1796×1446mmで、ホイールベースは2729mm(欧州仕様参考値)。フットプリントは「Cクラス セダン」よりもひと回りコンパクトだが、全高は20mm高い。
「Aクラス セダン」のボディーサイズは全長×全幅×全高=4549×1796×1446mmで、ホイールベースは2729mm(欧州仕様参考値)。フットプリントは「Cクラス セダン」よりもひと回りコンパクトだが、全高は20mm高い。拡大
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