可変バルブ機構で効率がアップ

その後、このエンジンは排気量を1.6リッター、1.75リッター、2リッターに拡大し、「ジュリア」や「75」などにも使われている。憧れだったDOHCエンジンが、手の届く存在になったのだ。

DOHCの採用によってバルブの配置や燃焼室形状の設計のバリエーションが増え、吸排気ともに2つのバルブを備えた4バルブ、さらに5バルブのエンジンも現れた。マルチバルブ化によって、空気の流入量が増し、燃焼効率が向上する。カムシャフトの進化は、これで終わったわけではない。

1980年代から急速に研究が進んだのが、可変バルブ機構である。バルブの開閉タイミングやリフト量は、エンジンの回転数によって最適な値が異なる。高回転にマッチした設定にすればどうしても低回転域では効率が悪くなり、その逆も同じである。それを制御可能にしたのが、可変バルブ機構だった。

各自動車メーカーによってさまざまな方式が生み出されており、バルブタイミングとバルブリフト量のどちらかを可変にするものも、両方を制御するものもある。カムの形状を変化させる場合もあれば、進角・遅角によってオーバーラップ量を変化させるタイプもある。いずれにせよ、エンジンが必要とする空気を、最適なタイミングで最適な量確保しようとしているわけだ。

高出力を生み出すために、燃料を大量に消費することはもはや許されない。しかし、空気ならばどれだけたくさん取り入れてもいいはずだ。より多くの空気をシリンダーに送り込むため、エンジンの進化は続いている。

(文=webCG/イラスト=日野浦 剛)

吸気3バルブ、排気2バルブの、5バルブのエンジンヘッドを備えた初代「アウディRS 4」。5バルブのエンジンは一時期注目を集め、日本でもトヨタや三菱などが採用を進めたが、現在は4バルブが主流となっている。
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日本初の可変バルブタイミング機構付きエンジンとされる、1984年に登場した三菱の「シリウスDASH」。大小2つの吸気バルブを持つ3バルブのSOHCで、低回転域では小径の吸気バルブのみを、高回転域では両方の吸気バルブを動かす仕組みも備わっていた。
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ホンダの可変バルブ機構「VTEC」は、1989年登場の「インテグラ」で初めて実用化された。吸気側、排気側両方のカムシャフトに、プロファイルの異なる2種類のカムが備わっており、低回転域と高回転域で、バルブのリフト量と開閉のタイミングを切り替えることができた。
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