『アビイ・ロード』で通せんぼ

島の南、マリーナ・ディ・カンポ村の公共駐車場内にある有料トイレは、訪れてみると、運悪く「昼休み」だった。

さらに、外壁に掲げられた利用可能時間(写真I)は、恐ろしく複雑だった。訳すと以下のようになる。

  • 11月-3月:水曜日の8:00-12:30
  • 4月と5月:毎日8:00-16:00
  • 6月-9月:毎日9:00-13:30と15:30-18:00(ただしイベント開催日は24:00まで)
  • 10月:水・土・日の8:00-14:00

観光客がまばらになる冬は、水曜日の午前中だけ開いている。地元の人に確認したところによれば、「水曜に青空市場が開かれるから」だった。それに異存はないが、番をしている人でさえ出勤時間を間違えそうで、使えない怒りを通り越して笑いがこみあげてきた。

いっぽう、そこからわずかに歩いたところで、写真15のような臨時バリケードを発見した。モチーフは、言わずと知れたビートルズによる1969年『アビイ・ロード』のアルバムジャケットである。とかく通行禁止バリケードに行く手を阻まれると、歩いていても運転していても思わず舌打ちしてしまうものだ。だが、こうした粋なアイデアを加えるだけで、笑いに転化できる。筆者などは、前述の使えなかったトイレで焦った尿意もいっときではあるが忘れることができた。

ところでエルバ島には、イタリアに住み始めた翌年である1997年6月に、女房と最初に訪れている。今回執筆するのを機会に、当時の手記を読み返してみた。

「シトロエン・メアリ」。助手席の女房に急きょ頼んで撮ってもらった“リモコン撮影”ゆえ、質はお許しを。
「シトロエン・メアリ」。助手席の女房に急きょ頼んで撮ってもらった“リモコン撮影”ゆえ、質はお許しを。拡大
写真I。マリーナ・ディ・カンポの有料トイレに掲げられた営業時間。
写真I。マリーナ・ディ・カンポの有料トイレに掲げられた営業時間。拡大
『アビイ・ロード』風バリケード。
『アビイ・ロード』風バリケード。拡大
大矢 アキオ

大矢 アキオ

コラムニスト。国立音楽大学ヴァイオリン専攻卒にして、二玄社『SUPER CG』元編集記者、そしてイタリア在住21年と脈絡なき人生を歩んできたものの、おかげで妙に顔が広い。今日、日本を代表するイタリア文化コメンテーターとして執筆活動に携わると共に、NHKラジオフランス語テキストでも活躍中。10年以上にわたるNHK『ラジオ深夜便』レギュラーリポーター、FM横浜『ザ・モーターウィークリー』季節ゲストなど、ラジオでも奮闘している。『Hotするイタリア』『イタリア発シアワセの秘密 ― 笑って! 愛して! トスカーナの平日』(ともに二玄社)、『カンティーナを巡る冒険旅行』『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(ともに光人社)、電子書籍『イタリア式クルマ生活術』(NRMパブリッシング)など数々の著書・訳書あり。

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