「F1の輝かしい未来」次世代チャンピオン候補の台頭

ジャーナリストやファンの間で、先日ある動画が話題となった。今から7年前のカートレース後に撮られたという映像には、まだあどけない、しかしはっきりと誰だか分かる顔をした少年たちがいた。

「彼はフェアじゃないよ! 僕をコースの外に押し出したんだ」とご立腹なのはマックス・フェルスタッペン。その率直な物言いは当時から健在だ。そのフェルスタッペンが非難する“彼”に、インタビュアーがマイクを向けると「いや、よくあるレースでの出来事だよ」と、悪びれずにさらりと一言。シャルル・ルクレールの年に似合わぬ落ち着きも、また昔から変わっていないようだ。

あの頃はまたレーシングドライバーを夢見る子供だった2人が、今、最高峰F1でトップチームに籍を置き互いに優勝を争うまでになって……と親心で目頭が熱くなるには、まだ早すぎる。なぜなら、21歳の彼らはドライバーとして伸び盛りで、F1の次なる時代を築いていくという大仕事のスタートラインに立ったばかりだからだ。

同じ1997年生まれ、親が元レーシングドライバーというこの2人は、それぞれの道を歩みF1にたどり着いた。オランダ人のフェルスタッペンは、レッドブルの育成ドライバーとして頭角を現し、2015年、史上最年少17歳でトロロッソからF1デビュー。既に100戦近くの経験と、GP7勝という実績を誇り、いまやレッドブルのみならずF1を代表するドライバーに。世界各国にオレンジ色を身にまとった大応援団が詰めかける“マックス・フィーバー”のおかげで、来年にはオランダGPが復活するまでになった。

フェルスタッペンに比べるとルクレールのF1キャリアはまだ短いが、若手を乗せないことで知られるフェラーリに、GP2年目で抜擢(ばってき)されたのだからポテンシャルは折り紙つき。第2戦バーレーンGP、第9戦オーストリアGPではポールポジションを獲得。いずれも優勝とはならなかったものの、クレバーな走りで4冠のチームメイト、ベッテルのお株を奪うことも多々あった。

新進気鋭のこの2人が、火花を散らす優勝争いを繰り広げたのがオーストリアGP。抜きつ抜かれつの好ゲーム、意地と意地のぶつかり合いが文字通り接触にまで発展するも、F1では先輩格のフェルスタッペンの方が一枚上手、レッドブルが勝利をかっさらっていった。

このレースを見たF1スポーティングディレクターのロス・ブラウンは、2人の戦いぶりを「F1の輝かしい未来を示している」と絶賛。フェルスタッペンとルクレール、史上最年少1-2が意味するのは、ブラウンが言う通り、F1の未来そのもの。この先10年は続くかもしれないライバル対決に思いをはせれば、心も踊るというものだ。

第9戦オーストリアGP、自身2度目のポールポジションからレースをリードしたフェラーリのシャルル・ルクレール(写真左)に、レッドブルのマックス・フェルスタッペン(同右)が襲いかかった。新進気鋭のドライバー同士の白熱した優勝争いを、F1スポーティングディレクターのロス・ブラウンは「F1の輝かしい未来を示している」と絶賛。(Photo=Red Bull Racing)
第9戦オーストリアGP、自身2度目のポールポジションからレースをリードしたフェラーリのシャルル・ルクレール(写真左)に、レッドブルのマックス・フェルスタッペン(同右)が襲いかかった。新進気鋭のドライバー同士の白熱した優勝争いを、F1スポーティングディレクターのロス・ブラウンは「F1の輝かしい未来を示している」と絶賛。(Photo=Red Bull Racing)拡大
開幕前のテストでは絶好調だったフェラーリは、今季12戦していまだ勝利なし。それでもシャルル・ルクレール(写真右)は、4冠王者のチームメイト、セバスチャン・ベッテル(同左)を上回るパフォーマンスを披露した。ドライバーズチャンピオンシップでは4位ベッテル156点、その24点後方に5位ルクレール。(Photo=Ferrari)
開幕前のテストでは絶好調だったフェラーリは、今季12戦していまだ勝利なし。それでもシャルル・ルクレール(写真右)は、4冠王者のチームメイト、セバスチャン・ベッテル(同左)を上回るパフォーマンスを披露した。ドライバーズチャンピオンシップでは4位ベッテル156点、その24点後方に5位ルクレール。(Photo=Ferrari)拡大
あなたにおすすめの記事
新着記事