メルセデスAMG A45 S 4MATIC+(4WD/8AT)/CLA45 S 4MATIC+(4WD/8AT)
待つ価値あり 2019.08.13 試乗記 最高出力421ps、最大トルク500Nmという“世界最強”の2リッター直4ターボエンジンを搭載した「メルセデスAMG A45 S 4MATIC+/CLA45 S 4MATIC+」。セグメントの枠を超えたその走りを、スペイン・マドリードのワインディングロードとサーキットで試した。久々に感じたAMGの狂気
メルセデスAMGの新しい2リッター4気筒ユニットM139型は、最高で421psを発生する。ターボ化によるパワーインフレは世の流れとはいえ、リッターあたり200psオーバーといえばスーパーカーでさえ達成できていない境地だ。それらをもあっさりと上回る過激すぎるスペックは、ひと昔前なら巨大なタービンに追加インジェクターも打ちまくったイリーガルすれすれなチューニングカーの領域だろう。それをしれっとプロダクションカーに搭載するというのは前代未聞。「ハンマー」や「ブラックシリーズ」にも通じる、AMGの狂気を久々に見た思いがする。
このエンジンが搭載されるのはAクラスとCLAになる。欧州では、「A45」「CLA45」の名でM139型のマイルド版を搭載する387ps仕様も存在するが、日本仕様は421psのA45 S、CLA45 Sのみと、インポーター側の判断も勇ましい。ちなみに両者の出力差はブースト圧によるもので、前者が1.9に対して後者が2.1となる。いずれにせよとんでもない数値ではある。
M139型は先代A45のM133型とは全く異なる、現状ではこのモデルのためだけに存在するものだ。製造もAMGの本拠地であるアファルターバッハに移動し、新設のラインで「ワンマン・ワンエンジン」のポリシーに沿ってハンドビルドで組み立てられる。
低摺動(ていしゅうどう)と高硬度化を実現する、ナノスライドコーティングのライナーを擁するシリンダーブロックはクローズドデッキ、クランクケースは強化アルミ製、クランクやピストンは鍛造品と、高出力に対応するためのエンジニアリングは随所にみられる。タービン軸にローラーベアリングを用いた大径ツインスクロールターボを収めるスペースを稼ぎつつ、インタークーラーのパイピングをシンプルにレイアウトできるということで、エンジンは後方排気となり、タービンの冷却風はシリンダーヘッド上方からガイドに沿って導かれるなど、そのパッケージには「AMG GT」が搭載するM178型からのフィードバックも多くうかがえる。
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