マツダの多チャンネル化と大盤振る舞い

とにかくイケイケの時代だった。僕自身もちょっとした恩恵にあずかっている。マツダが主催した「編集部対抗ユーノス・ロードスターレース」に参加したのだ。自動車誌と一般誌の2部門に分かれており、当時女性誌編集部にいた僕は一般誌で参加。ほかのメンバーもほとんどがレース初体験だったので、B級ライセンスを取得することから始めた。

寺田陽次郎や片山右京からレッスンを受けるというぜいたくなプログラムで、費用はすべてマツダ持ち。下手くそ集団だからむちゃな運転をしてクラッシュするケースも続出したが、マツダの担当者は「ちょっとぐらいぶつけても大丈夫ですよ」と言って平然としていた。信じられない太っ腹である。

マツダからはこの年「ユーノス300」が発売されている。「マツダ・ペルソナ」の姉妹車で、ディーラー網多チャンネル化に対応して場当たり的に企画されたモデルだ。案の定まったく売れずに1992年に退場。拡大路線は大失敗に終わって会社存続が危ぶまれる危機に追い込まれたのだから、マツダはどうかしていた。素人レースに大盤振る舞いしている場合ではなかったのだ。

この年の東京モーターショーには、派手なコンセプトモデルが並んだ。トヨタは4.5リッターV8エンジンを搭載した「4500GT」を出展。これは販売されることはなかったが、「ホンダNSX」と「ユーノス・コスモ」は1990年に、「スバル・アルシオーネSVX」は1991年に市販化されている。バブルが崩壊したことに気づいていないので、自動車メーカーはまだまだ強気だった。

「マツダ・ペルソナ」(写真)の姉妹車「ユーノス300」は1989年に発売されたが、わずか3年ほどの短命に終わった。
「マツダ・ペルソナ」(写真)の姉妹車「ユーノス300」は1989年に発売されたが、わずか3年ほどの短命に終わった。拡大
1989年に発表、1990年に発売された初代「ホンダNSX」は、2006年まで販売された。
1989年に発表、1990年に発売された初代「ホンダNSX」は、2006年まで販売された。拡大
1990年発売の「ユーノス・コスモ」。上位モデルには3ローターのロータリーエンジンが搭載されていた。
1990年発売の「ユーノス・コスモ」。上位モデルには3ローターのロータリーエンジンが搭載されていた。拡大
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