K家が迎えたニューモデル

本題に入る。彼がup! GTIの代わりに購入したクルマのことだ。厳しい審査を通り抜けたのは、「マツダ3」の「ファストバック」である。リアクオーターの流麗な造形と世界初の燃焼方式SPCCI(Spark Controlled Compression Ignition:火花点火制御圧縮着火)を実用化したスカイアクティブXが話題だ。ただ、彼が選んだのは1.5リッターガソリンエンジン搭載モデル。スカイアクティブX搭載モデルが発売される12月(マツダ3のローンチ時は10月と発表されていた)まで待てなかったのか。K青年は明確な考えを持っていた。

「最初は僕もマツダ3はXでなければ、と考えていました。ディーラーでまず1.8リッターディーゼルに試乗したんですが、あまりピンとこなかったんです。シャシーの出来が良すぎて、それを使いこなせていない。鼻先が重く感じました。次に1.5リッターガソリンに乗ったら、すごくいいんですね。前に乗っていた『ロードスター』(ND)と同じ音がします。エンジンは非力で坂を登りませんが、のんびり走るのが好きなので気になりません」

スカイアクティブXモデルには乗っていないわけだが、待つ必要はないと判断した。

「Xが出ても買い替えるつもりはありません。ディーゼルっぽい力強さを持っていると言われますが、マツダ3には合わないんじゃないでしょうか。今回はあくまで実験的に採用しただけで、本命は『マツダ6』だと思います。スカイアクティブXのマツダ6が出たら買うつもりですよ」

新しいものが出たからといって、すぐに飛びついたりはしない。実に堅実で賢明な態度である。マツダ3の長所も短所も見極めた上での購入なのだ。

「ハンドリングがしっとりして雑味がありません。マツダがこれまでやろうとしてなかなか実現できなかったテイストが、ようやく完成したのだと思います。ただ、リアのトーションビームサスペンションは結構ハネますね。まあ、それが面白いんですが」

もうひとつ、特筆すべきポイントがあるという。ワイパーだ。

「ウオッシャー液の出方が素晴らしいんです! まったく飛び散らないし、フロントガラスの全体をしっかりワイパーがカバーしています。吹き残しがないのはうれしいですね」

細かいところまで観察している。50台以上をマイカーとして乗り継いできたからこその視点だろう。試乗だけでは目が届かないところもある。K青年の聡明(そうめい)さを見習わなければならない。とはいいながら、かく言う僕自身は最近ヘンなドアのクルマからヘンな屋根のクルマに乗り換えたばかりなのだった。webCG編集部の面々同様、スマートなクルマ選びへの道は遠い……。

(文=鈴木真人/写真=フォルクスワーゲン、BMW、webCG/編集=藤沢 勝)

K青年が新たに購入したのは「マツダ3ファストバック」。選んだのは1.5リッターガソリンエンジンのMTモデル。
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K青年のお気に入りポイントのひとつであるワイパー。ブレードにウオッシャー液の吹き出し口が内蔵されているタイプで、「しぶきが飛ばず、吹き残しもない優れもの」だそうだ。
K青年のお気に入りポイントのひとつであるワイパー。ブレードにウオッシャー液の吹き出し口が内蔵されているタイプで、「しぶきが飛ばず、吹き残しもない優れもの」だそうだ。拡大
筆者が先日まで所有していた「トヨタ・セラ」。
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「セラ」から買い替えたのは「ルノー・ウインド」。ミドシップのように見えるが、実際は1.6リッター直4エンジンをフロントに横置きで搭載するFF車である。
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