“食パン”ではカッコ悪い

それは、カーマニアにとってひとつの試練であった。自分は一応フェラーリオーナーなわけですが、今日乗ってきたのはタントカスタム。ソイツをNSXとカマロの間にブチ込むのだ。周囲のカーマニアたちは「あ、パンピーが来ちゃった」「せっかくの景色が壊れちゃう」くらいのことを思っていることだろう。

しかし、ここで逃げたら男がすたる。俺は勇気を出してタントカスタムをNSXとカマロの間にブチ込んだ。

背が高~い! 

真剣な話、両脇に比べて全高が2倍くらいある。平べったいジャムパンとクリームパンの間に食パンが立ってるみたい! あー、オレってこんなカッコ悪いクルマに乗ってきたのか……。

いや、本線上なら負けませんよ。こっちは限界がつかみやすいので、ギリギリまで攻められますからね。ミドシップマシンなんて、怖くてシロートさんはコーナー攻められんだろ。

本線上ならば、我がタントカスタムで、初代NSXのインを突く自信がある!

でも、ここは辰巳。カーマニアが愛車のたたずまいにウットリするための場所だ。ここでのタントカスタムはまさに異物。カーマニアとして赤面せずにいられませんでした。

いま、日本中のほとんどの場所が、この逆の状況になっている。どこへ行っても軽ハイトワゴンやミニバンだらけ。食パンの間にジャムパンをブチ込む感覚だ。

でも、夜の辰巳ではジャムパンが主役! 食パンのご来場はご遠慮くださいって感じですね。なにせ食パンが止まると、全高が高すぎて、隣のカッコいいジャムパンが見えなくなりますから。以後気を付けます。

(文=清水草一/写真=清水草一、池之平昌信/編集=大沢 遼)

「NSX」と「カマロ」の間のスペースに「タントカスタム」を入れてみた。
「NSX」と「カマロ」の間のスペースに「タントカスタム」を入れてみた。拡大
ジャムパンとクリームパンの間に食パンが立っている!?
ジャムパンとクリームパンの間に食パンが立っている!?拡大
清水 草一

清水 草一

お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。

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