アメリカで唯一の“スポーツカー”

皆さんご存じの通り、世界最大のスポーツカー市場を擁するアメリカだが、長年にわたり自前のスポーツカーはコルベット以外存在しなかったし、現在も存在していない。

もちろん、かつては「コブラ」に「フォードGT40」、最近じゃ「ダッジ・バイパー」「サリーンS7」、そして新生「フォードGT」と、かの地の自動車史をひもとくと、さまざまなハイパフォーマンスカーが飛び出してくる。ただ、それらはバックヤードビルダーが手がけたいささかカルトなシロモノだったり、レース前提のホモロゲーションモデルだったり、超高額の少量生産モデルだったりして、一般ユーザーがおいそれとガレージに収められるようなものではなかった。ちまたのクルマ好きが「いつかはわが家に……」と夢を託せるクルマは、やっぱりコルベットだったのである。

第2次大戦の帰還兵が英国からMGやら何やらを持ち帰り、かの地にスポーツカー文化が根付いてこのかた、2019年までずーっとこの状況なのだ。アメリカ人にしてみたら、ジャガーやらポルシェやらといった鼻持ちならない舶来カーのハナを明かせる唯一の存在がコルベットだったわけで、いってみれば愛国的(“右”って意味じゃないよ?)クルマ好きの心のよりどころ。スポーツカー界のアメリカ代表。渡辺敏史氏の言葉を借りると、「アメリカの魂」なんである。スポーツカーとしてのその目的は、いってみれば「アメリカのプライドを守ること」なのだ。

1953年にデビューした当初の「コルベット」は、非力な直6エンジンを積んだデートカーみたいなクルマだった。1955年モデルからV8エンジンが採用されたことで、軽快でマッチョなスポーツカーとなった。
1953年にデビューした当初の「コルベット」は、非力な直6エンジンを積んだデートカーみたいなクルマだった。1955年モデルからV8エンジンが採用されたことで、軽快でマッチョなスポーツカーとなった。拡大
1991年に登場した「ダッジ・バイパー」。結構がんばったと思うが、エンジンは1種類、トランスミッションもMTのみとラインナップの幅が狭く、マニア向けの域を脱していなかった。「コルベット」で言うと、「グレードが『Z06』だけ」といった感じだろうか。
1991年に登場した「ダッジ・バイパー」。結構がんばったと思うが、エンジンは1種類、トランスミッションもMTのみとラインナップの幅が狭く、マニア向けの域を脱していなかった。「コルベット」で言うと、「グレードが『Z06』だけ」といった感じだろうか。拡大
「CORVETTE」という車名は哨戒や沿岸任務などを担う小型・快速の艦種からとったものだとか。つくづく「名は体を表す」である。
「CORVETTE」という車名は哨戒や沿岸任務などを担う小型・快速の艦種からとったものだとか。つくづく「名は体を表す」である。拡大
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