スズキ・エスクード(4WD/6AT)
隠れた実力派 2019.09.18 試乗記 活況を呈する昨今のコンパクトSUV市場にあって、いまひとつ存在感を示せていない「スズキ・エスクード」。しかし実際に試乗してみると、軽快な走りと本格的な4WDシステム、優れた実用性を併せ持つ、侮れない実力の持ち主だった。販売目標は1200台(年間)
「スズキ・ジムニー」は昨年(2018年)のフルモデルチェンジから1年以上が経過したが、まだ生産が追いつかない状態が続いているらしい。世界に名をとどろかせている名車であることは疑いないが、納車待ち1年というのはいささか長過ぎる。
スズキの四輪駆動車が欲しいなら、ほかにも魅力的な選択肢があるではないか。エスクードである。1988年に登場し、街乗りもできるコンパクトなクロスカントリー車として人気となった。今では当たり前になったクロスオーバーSUVの先駆け的存在と言っていい。
現在販売されているのは、2015年に登場した4代目。ラダーフレームを持たないモノコックにFFベースの四輪駆動システムを組み合わせた現代的なモデルである。当初は1.6リッター自然吸気エンジンのみの設定だったが、2017年に1.4リッターターボが追加され、その翌年に1.6リッターを廃止。さらに内外装の変更や装備改良などを施すマイナーチェンジを受けて今に至っている。スズキのラインナップの中では、堂々たるフラッグシップの位置だ。
コンパクトなサイズのクロスオーバーSUVは、今や大人気の売れ筋。「トヨタC-HR」や「ホンダ・ヴェゼル」などもこのジャンルである。2019年上半期の販売台数はヴェゼルが3万3445台、C-HRが3万2221台で、SUVの売り上げトップの座を争っている。どちらも街なかでよく見かけるが、エスクードにはめったにお目にかからない。それも当然で、年間販売目標台数はわずか1200台なのだ。