世界有数のエコ・ファクトリー

工場はローマ空港から130kmほど南下した、フロジノーネ県に属する基礎自治体、カッシーノにある。首都からクルマでおよそ90分、遠くに山を望む緑豊かな場所に1972年に建設された。

古いイタ車ファンには懐かしの「126」を皮切りに、フィアットが「フォルクスワーゲン・ゴルフ」に対抗するため生み出したホットハッチ、「リトモ」や「ティーポ」、「ランチア・デルタ」がここから送り出された。現在は「アルファ・ロメオ・ジュリエッタ/ジュリア/ステルヴィオ」という“イタリアの星”を生産する。従業員は3743人。カッシーノの人口はおよそ3万7000人というから10人に1人はこの工場で働くことになる。

ここの売りは、ずばり「世界有数のハイレベルなサステイナブルファクトリー」であること。カタカナが並ぶと実態が見えにくくなるのはなぜだろう、という話はともかく、要は環境への配慮と人間工学に基づいた労働環境・姿勢を重視した工場なのだ。2007年に大幅なリフォームが施され、生まれ変わった。

環境への配慮には3つのポイントがある。1つ目は水。ご存じの通り、自動車塗装にはエネルギーもさることながら大量の水を必要とするが、これをすべて雨水でまかなっている。塗装以外の場で使用されるものも同様だ。2つ目は廃棄物の埋め立て処分を行っていないこと。行政に頼らず自ら回収、リサイクルしているのである。

なーんだ、その程度かと笑ってもらっては困る。これはイタリアという国、特にローマから南の地方では画期的なことなのだ。前述の通り、家庭から出る粗大ゴミから産業廃棄物まで、回収・処分はこの国では常に大きな社会問題だ。犯罪組織、いわゆるマフィアの利権がからんでいるだけに、われわれ日本人には想像もつかないほど事は深刻。この点でカッシーノ工場は称賛に値する。

3つ目は工場で使用する電力。100%自家発電である。つまり水ゼロ、ゴミゼロ、CO2ゼロ、スリーゼロを実践した工場ということになる。

カッシーノ工場の一日あたりの生産キャパシティーは、およそ1000台。スピーディーかつ正確なオペレーションで組み立て作業が行われる。
カッシーノ工場の一日あたりの生産キャパシティーは、およそ1000台。スピーディーかつ正確なオペレーションで組み立て作業が行われる。拡大
カッシーノ工場は、高度にエコ化されたファクトリーとしても知られる。CO2の排出量はゼロであり、生産プロセスで生じる副産物については100%回収またはリサイクルを実現。水利用も完全に自給自足となっている。
カッシーノ工場は、高度にエコ化されたファクトリーとしても知られる。CO2の排出量はゼロであり、生産プロセスで生じる副産物については100%回収またはリサイクルを実現。水利用も完全に自給自足となっている。拡大
ラインに並ぶ「ステルヴィオ」。カッシーノ工場は「プレミアム製品のためのプレミアムプラント」をうたう。
ラインに並ぶ「ステルヴィオ」。カッシーノ工場は「プレミアム製品のためのプレミアムプラント」をうたう。拡大
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