モーターショーにはまだまだ価値がある

35.5kWhのバッテリー容量は、くしくもマツダが市販を予定しているBEVとも共通している。ドイツおよび欧州勢は大きな目標に対してバックキャスティングするときに、グリーン電力が大いに広がっていくことを前提としているが、トヨタも含めた日本勢の多くは、現実的な電力構成でLCA(ライフサイクルアセスメント:生産から走行、廃棄、リサイクルまで総合的なCO2排出量を評価)を考える傾向が強いから、戦略に違いが見られるのだ。日本人だからか、日本勢の考え方のほうがストンと腑(ふ)に落ちる気がしているのだが、果たしてどちらの戦略が正しいのか? それは今後を見守っていくことでゆくゆく判明するだろう。

いずれにせよ、自動車成熟国のモーターショーはクルマ好きの興味の対象としては陰りつつあるが、これからのモビリティーを考えるうえでは重要な機会である。

早くから衰退し始めた東京モーターショーはそれだけ危機感が高まっていたので、今年はさまざまな対策がうたれている。オリンピック/パラリンピックの影響もあって会場は分散し、端から端までの距離は1.5kmにもおよぶが、展示場をつなぐ公園の橋などを利用して、次世代モビリティーを見せたり体験させたりするなど、新たな取り組みが見られるのだ。自動車とは異なる業界の企業も加わって、近未来の日本の技術を展示したり、無料の地域を設けてより多くの来場者に門戸を開いたりという試みもみられる。始まってみないことには成功するかどうかはわからないが、取りあえずは楽しみにしておこう。

今年の東京モーターショーは10月24日に一般公開がスタート。23日は各メディアの取材日となっているので、そのときになれば概要が判明するはずだ。

(文=石井昌道/写真=石井昌道、NewsPress、ダイムラー、フォルクスワーゲン、マツダ、日本自動車工業会、CAR GRAPHIC/編集=堀田剛資)

「CX-30」をベースとしたマツダのBEVのテスト車両。リチウムイオンバッテリーの容量は、くしくも「ホンダe」と同じ35.5kWhだ。
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日欧米のモーターショーは、クルマ好きの興味の対象としては重要度が低下しているが、これからのモビリティーを考える機会としては、いまだに重要なイベントといえる。
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分散した会場をつなぐ通路を次世代モビリティーの体験スペースとしたり、無料開放のエリアを設けたりと、今回の東京モーターショーにはこれまでにない新たな試みが取り入れられている。
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2019年の東京モーターショーは、10月23日に開幕する。
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