キモはパワートレインの電動化だけにあらず

MEBをコアテクノロジーとするID.シリーズは、電動化に加え、大幅なデジタライズによって完全なコネクテッドカーともなる。

新たに立ち上げられたソフトウエア部門“Car.Sofrware”では、2025年までに1万人以上のデジタル専門家を集め、自動車関連ソフトウエア開発における内製率を現在の10%未満から60%以上に引き上げる。ソフトウエア開発のためのプラットフォーム戦略としては、今後車両の標準OS を新開発の“vw.os”に一本化して“Volkswagen Automotive Cloud”を全グループ車両に活用。2025年までにグループ内のすべての新型車がソフトウエアプラットフォームを共有するとしている。これまでは約200のサプライヤーから最大70種類のコントロールユニットおよび制御用ソフトウエアを調達していたというから、“vw.os”に統一することで大幅な簡素化が図れるのだ。

デジタルエコシステム(複数のサービスがつながること)についても、真剣な取り組みがなされている。こちらは“Volkswagen We”と総称されており、ベルリンの街中にある“We Campus”と呼ばれるオフィスを拠点に、スタートアップなども入ってこれからのモビリティーサービスに関するさまざまなアイデアが提議されている。充電検索サービスなどは“We Charge”が統括。BEVカーシェアリングの“We Share”はすでにサービスが始まった。その他、クルマに直接関わるもの、クルマにまつわる周辺サービスなど、多くの“We”が開発されている。

未来への責任を果たすべく動き始めたフォルクスワーゲン。BEVのID.シリーズの展開、サプライチェーンも含めた全体でのCO2排出量削減などは本気度が高く、ここまで包括的に取り組んでいるメーカーは他にないだろう。デジタライズに関しても、OSまで自主開発してプロバイダーとしても一流になろうと目指しているところは他にない。それらが計画通りにうまく進んでいくかどうかは未知数だが、少なくとも揺るぎない強い意志は伝わってきたし、戦略性はこれ以上ないぐらいに高い。フォルクスワーゲンが次世代モビリティーの覇権を握る可能性は大いにある。

(文=石井昌道/写真=石井昌道、フォルクスワーゲン/編集=堀田剛資)

プロダクトの電動化へ向けた変革が注目を集めるフォルクスワーゲンだが、内部ではそれだけにとどまらず、自動車開発の方針転換や“CASE”“MaaS”にまつわる新規事業への投資など、多方面で新しい取り組みがなされている。
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フォルクスワーゲンは、これまで主に外注に頼っていた自動車用ソフトウエア開発の内製化を加速。将来的には、標準OSを新開発の“vw.os”に統合するとしている。
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シェアリングなどの、新しいクルマの使い方、クルマとの付き合い方に関するサービスにも、積極的に取り組むフォルクスワーゲン。2019年6月にはBEVによるシェアリングサービス「We Share」がスタートし、ベルリンに1500台の「e-ゴルフ」が配備された。
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フランクフルトショーにて、フォルクスワーゲンのプレスラウンジに置かれていた故フェルディナント・ピエヒ氏の記帳台。変革期を迎えた自動車産業を氏がどうとらえていたのか。私見を聞いてみたかった。
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