“コンティニュエーション”車を定義する

精巧なレプリカは「だます」とか「だまされる」という低い次元の話ではなく(それもあろうが)、オリジナルが希少ゆえに価格が高騰したことや文化的価値が高まったことから出現したといえよう。本物が欲しいが高騰してしまったので諦めて、レプリカで“活発に楽しむ”という例も少なくない。富豪のエンスージアストには、本物をレースやラリーなどで激走させて消耗することがはばかられるため、本物と見分けがつかないほど精巧なレプリカを製作して、真贋の2台をガレージに収めている例もあると聞いたことがある。コンティニュエーションカーならメーカーが生産したものなので、レプリカより“血統がいい”といえる。

腕のいい職人が丹精込めて組み上げたものは、名画の模写のように“複製芸術”といえよう。コンティニュエーションカーの販売先は、実はすでに本物を持つコレクターたちが多いのではなかろうか。

さて、ここで“コンティニュエーション”車を定義づけておくことにしよう。それは「現存するメーカーが、過去に生産していたクルマを一定期間の中断を経て、原型を忠実に再生産したクルマ」ということになる。付帯事項として、「過去にはクルマを生産しており、その後クルマを生産中止あるいは転業したが、会社自体は存続していること」「原型を忠実に再現することは必須だが、安全や環境に配慮して目立たぬように改造を図ることだけは許容する」。こうしておけば万全だろう。

ヒストリックカーの希少モデルも価格は、今後も高騰することは明らかだ。思う存分走りたいとの欲求をかなえてくれそうな、コンティニュエーションカーの出現は今後も続くことになると思われる。願わくば、比較的安価で入手できる歴史的なスポーツレーシングカーも継続生産されてほしいと思うのだが。

(文=伊東和彦<Mobi-curators Labo.>/写真=アストンマーティン、ジャガー、アルヴィス、webCG/編集=藤沢 勝)

1960年代後半に乗用車生産を終了した英国のアルヴィスは、戦前と戦後のモデルのコンティニュエーションを発表した。これは戦前型の「4.3リッター」モデル。
1960年代後半に乗用車生産を終了した英国のアルヴィスは、戦前と戦後のモデルのコンティニュエーションを発表した。これは戦前型の「4.3リッター」モデル。拡大
「アルヴィスTE21」。同社は、乗用車生産を終えてからも、過去に生産していたクルマの部品供給は継続しており、クルマの生産図面もすべて保存しているのが強みだ。
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