ホンダ今季の集大成「スペック4」と日本人ドライバーのFPデビュー

パートナーシップ2年目を迎えたトロロッソに加え、3強の一角であるレッドブルにも今年からパワーユニットを供給するようになったホンダ。2019年シーズンにあたり、メルセデス、フェラーリとの差を縮めることを眼目に、矢継ぎ早にバージョンアップを図ってきたことは周知の通りだ。

早くも4戦目のアゼルバイジャンGPで「スペック2」をデビューさせ、その2カ月後のフランスGPに「スペック3」を投入。スペック3でのターボの改善が奏功し、高地・高温のオーストリアGPでの優勝につながった一方で、イギリスGPではターボラグの問題が露呈した。

そして8月末のシーズン後半戦スタートには、パフォーマンスと信頼性を向上させたという「スペック4」へと進化。V6エンジンなどは年間3基までしか使えないにも関わらず、4つも改良版を出したのだから降格ペナルティーは必至となってしまったが、前戦ロシアGPではV6エンジンもわざわざ新しいものに替え、日本を含む残るGPで何が起きてもいいように余裕を持たせる万全策も取ってきた。今季残り5戦でのバージョンアップは予定されていないことから、日本GPではホンダの2019年の集大成が見られることになる。

そして、ホンダ勢にとっては頼もしい“援軍”が鈴鹿にやってくる。2017年からレッドブルとタッグを組んでいるエクソンモービルが、新しいタイプの燃料を持ち込んでくるのだ。燃料やケミカル系の違いで数十馬力のパワーアップも可能といわれる昨今のF1にあって、鈴鹿でレッドブルとトロロッソを強力に後押ししてくれるかもしれない。

そんなホンダの活躍もあってか、今年の日本GPのチケットの売れ行きは例年以上に好調とのことで、9月上旬には「Honda応援席」と銘打たれた1万席がほぼ完売となったという。これで日本人ドライバーがいれば……と思うファンに、朗報が舞い込んできた。初日のフリープラクティスに、ホンダ系のドライバーである山本尚貴がトロロッソをドライブすることが正式に決まったのだ。

F1に必要なスーパーライセンスポイントを保持する唯一の日本人であり、昨年は国内のスーパーフォーミュラとSUPER GTでダブルタイトルを取った実力派ドライバー、山本の登場となれば、日本におけるF1への興味、期待感もまたいっそう高まることだろう。

マクラーレン駆る元王者フェルナンド・アロンソに「GP2エンジンだ!」と酷評されてから4年。紆余(うよ)曲折、幾多のトライ&エラーを繰り返してきたホンダは、ポディウムの頂点に立てる実力と自信をつけて母国に帰ってくる。その戦いぶりに、注目しないわけにはいかないだろう。

2019年のF1日本GP決勝は10月13日に行われる。台風19号の影響が懸念されているが、日曜日には好転するとの予報を信じ、レースを心待ちにしたい。

(文=柄谷悠人/写真=メルセデス・ベンツ、フェラーリ、レッドブル・レーシング、トロロッソ/編集=関 顕也)

チームメイトのクビアト同様、シーズン途中のベルギーGPからジュニアチームのトロロッソに降格となってしまったピエール・ガスリー(写真)。レッドブルではフェルスタッペンの陰に隠れ、自信を喪失したかに見えたが、古巣トロロッソでは調子を取り戻している。(Photo=Toro Rosso)
チームメイトのクビアト同様、シーズン途中のベルギーGPからジュニアチームのトロロッソに降格となってしまったピエール・ガスリー(写真)。レッドブルではフェルスタッペンの陰に隠れ、自信を喪失したかに見えたが、古巣トロロッソでは調子を取り戻している。(Photo=Toro Rosso)拡大
矢継ぎ早にバージョンアップを図ってきた2019年のホンダ。その集大成である「スペック4」で、鈴鹿での28年ぶりの勝利を目指す。(Photo=Red Bull Racing)
矢継ぎ早にバージョンアップを図ってきた2019年のホンダ。その集大成である「スペック4」で、鈴鹿での28年ぶりの勝利を目指す。(Photo=Red Bull Racing)拡大
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