フォルクスワーゲン・ゴルフTDIハイライン マイスター(FF/7AT)
さりげなさがありがたい 2019.10.17 試乗記 質実剛健なブランドとして知られるフォルクスワーゲン。その看板車種の「ゴルフ」に追加されたディーゼルモデルは、良き選択肢となりうるか? 走りの印象のほか、装備の見どころや燃費についても報告する。満を持しての日本上陸
「軽油のGolfデビュー」と大書されたフォルクスワーゲンの特設ウェブページ。「詳細を見る」をクリックすると、「カモがネギを背負うようにGolfがディーゼルをのせてやってきた。」との見出し。うーん、特に深い意味はないのだろうけれど、ディーゼルモデルの導入にあたって、同社の排ガステスト不正事件の記憶が新しいなか、「カモネギはマズいんじゃないかなァ、カモネギは」と、人生のマイカーライフを「ビートル」(オリジナルね)で始めた心情的ワーゲンファンは思うわけです。カモネギという言葉にポジティブなイメージはあまりない。フレーズの意外性を狙うなら、例えば「破れ鍋に綴じ蓋(われなべにとじぶた)のようなGolfとディーゼルエンジン」……って、スイマセン、全然ダメでした。
さて、2012年にデビューを果たした現行のゴルフVII。モデル末期になって、ようやくわが国でもTDIことディーゼルバージョンがラインナップされることとなった。ゴルフTDIに搭載されるエンジンは、フォルクスワーゲンファミリーでおなじみの2リッター直噴ディーゼルターボ。アウトプットはゴルフ用に仕立て直され、150PSの最高出力と、340N・mの最大トルクを発生する。排気再循環システムや微粒子捕集フィルター、そしてAdBlueインジェクターを備えたクリーンディーゼルである。AdBlueインジェクターとは、排ガスに尿素水溶液を噴射して有害な窒素酸化物(NOx)を窒素と水素に還元して無害化するデバイス。くだんの事件では、排ガス試験以外のシチュエーションで、この装置の稼働が意図的に抑えられるプログラムが組まれていた。
ゴルフTDIのグレードは、ガソリンモデルの「TSI」に準じて、「TDIコンフォートライン」(323万円)と「同ハイライン」(362万円)で構成される。TSI/TDIの装備レベルは基本的に同じだ。ただしTSIの場合、コンフォートとハイラインでは、エンジンが1.2リッターターボと1.4リッターターボ、足まわりもリアが半独立式のトーションビームと独立式のマルチリンクと明確に差別化されるが、TDIはどちらも同じディーゼルエンジンを積み、サスペンションも変わらずマルチリンク式となる。ガソリンモデルからの価格上昇幅が、ハイラインで30万円強、コンフォートでは50万円弱と異なるのは、そのためである。
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |